【第38回】女性と組織の活性化研究会レポート
『女性のキャリア自立と相互成長』
今回の研究会は、「女性のキャリア自立と相互成長」をテーマに参加者24名(オブザーバーを含む)で,定例通り3部構成で開催されました。金融危機以後,先が見えない「異例なほど不確か」な社会環境になりました。そうしたなかで,如何にしてキャリア自立をし,自己だけでなく周囲を巻き込みながら成長をしていくかという点にフォーカスし、事例を織り交ぜながら活発に議論が展開されました。全てを掲載できないためそれぞれ,ポイントのみご紹介させて頂きます。
*主宰者によるミニ講義*
事前に集計したアンケートから主に,1.女性のキャリア自立の状況等,2.自立のための背策,3.個人のキャリア自立意識の3点の課題が提起されました。「全体的に自立している」と答えたのは13%であり,「3年前と比べて自立している人が増えている」との解答は全体の半数に上り,雇用の変化とそれに伴う働く女性の意識の変化が見てとれました。また,自立のための施策として研修やセミナー等に参加している女性は55%と高く,計画中も含めると80%が施策に対して非常に高い関心をもっていることがわかります。講義では,キャリア自立のポイントとして,「自信×共鳴力=成長・充実感」を挙げ,自分の意識だけでなく他者との信頼関係を育むことが,充実したキャリア自立の実現における重要なファクターであると提示しています。アンケート結果からも「自らがキャリア自立している」と答えた人は,「励まし合える仲間がいる」と答えています。現在のような社会環境のなかで充実したキャリア形成を行うためには,各自が他者との協力関係を維持しながら実行可能なアクションを起こすこと。さらに,「個人」から「組織」を巻き込むような施策を行うことが,今後より一層望まれることになると考えられます。
*プレゼンテーション*
今回は、医療法人ヘルスヘブン(院名:山村眼科整形外科・伊北クリニック)の山村先生,スタッフの濱形さんと中山さんより,『女性のキャリア自立と相互成長~全スタッフがイキイキ働き,自己成長し,笑顔と思いやりを伝播する~』と題した事例発表をしていただきました。
現在では高い医療サービス提供し,女性が働きやすい環境が整備されているヘルスヘブンさまですが、数年前,スタッフ間でのコミュニケーションの不足や業務における患者さんとの接遇,本院(山村眼科整形外科)と分院(伊北クリニック)との間で,対応の仕方や価値観等の温度差といった組織的な問題を抱えていました。それらの問題を解決するために外部の智慧を借りるだけでなく,問題意識をもったスタッフから自発的に,様々な施策に取り組んでこられました。
具体的には第一に,サービス向上への取り組みとして,患者さんの誕生日にお祝いの葉書を送ることや,接遇委員会を設け院外研修・スタッフ間で行う評価シートを用い,内外から変化を起こしていきました。この効果により来院者数を伸ばすことに成功しました。第二に,女性が働きやすい職場環境を実現させるためにグループウェアを開設しました。産休・育休中のスタッフが自宅から回覧でき,また育児日記等により在職中のスタッフとの相互交流の場を提供すといった工夫がありました。第三に,組織内のコミュニケーションの活性化を促進するために,目標設定シートや勉強会を開催しました。目標設定シートでは,各スタッフがそれぞれ目標を掲げ,その結果報告を行い上長からフィードバックを行うものです。一見すると,形骸化してしまうという恐れがありますが,新しいことを書かなければいけないという意識が生まれ,それが新たなことに挑戦するきっかけとなるため,好循環へと結びつきました。勉強会では,各自の持ち味を発見し,スタッフ間の相互理解を深めることに成功していました。
これらの施策はまず,スタッフ同士の共同作業を増やし,コミュニケーションの機会をつくること。次に,日常業務の中で励ましの声かけ等を行うことにより相互理解に努めたところにポイントがあります。こうした売り上げ目標等の「数字」では決して計ることのできないところにこそ,問題解決の糸口があったように思えます。あらゆるものを「見える化」する風潮のなかで,こうした取り組みは「組織」は「人」で成り立つという基本原理に立ち戻らせてくれる点においても,素晴らしいプレゼンテーションでした。
*グループディスカッション*
主宰者の植田,そして事例発表をしていただいた濱形さんと中山さんと山村先生をそれぞれ囲む2つのグループで、グループディスカッションを行いました。グループディスカッションでは,今回のテーマである「女性のキャリア自立と相互協力」と事例を絡めた内容を中心に議論が展開しました。特に,今回の事例でも見られるように,女性のキャリア成長において,1.横に繋げる,2.成功体験を共有する,3.誉めて育てるという3つのポイントがキードライバーとなるという意見がありました。また,具体的なアクションを起こす際に,誰もが共有できるフレーズで目標を掲げることにより,求心力をもたすことも挙げられました。これとは逆に,現状維持を望む方も多くいることは事実です。如何にして,こうした方々を巻き込んでいくのかという問題があります。危機感をもたせ,今置かれている状況を認識させ,対処する術を相互協力のなかで身につけてもらうという意見がありました。この他にもメンバーのみなさまは終始熱心に意見交換を行い,本質的なところまで掘り下げていました。
この様に,あらゆる角度から本質に迫り,「気付き」が得られることが本研究会の魅力であると思います。
今回のレポートを担当した赤村は,今回初めて本研究会に参加しました。参加者は実務においてもダイバーシティや女性のキャリア促進の分野で活躍されている方ばかりで,意見交換も可能です。またとない有益な機会ですので,是非ともみなさまのお越しを、お待ちしております。
(文責 株式会社きんざい 赤村 聡)






