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ダイバシティ時代、グローバル化時代において、女性の活躍推進を基軸に企業の活性化、日本社会の活性化を目指します。参加企業メンバーが互いの実体験、課題を共有しながら、さらなる取り組みへの方向性を見出すことと、企業を超えてのネットワークの構築のための研究会です。

【2015年6月19日(金)開催 第91回 女性と組織の活性化研究会レポート】

「子育て中の女性達が活躍するために必要な企業の施策とサポートとは」

〜彼女たちの悩み、不安と対峙してきたキャリアカウンセラー達からの提言〜

 第91回となる女性と組織の活性化研究会は、特別講演としてキャリアカウンセラーとしても活動しております事務局メンバーの川村貴子と山岡正子が発表させていただきました。

概要は次のとおりです。

*第1部*13301500

・植田ミニ講義

・事例発表

*第2部*15301630

・グループディスカッション

以下に、当日の様子をご紹介させていただきます。

*主催者によるアンケート結果報告*

 今回のアンケートは36社から回答いただきました。ワーキングマザーの数は”増えている、少し増えている”を合わせて82%となり、「育児休暇後の復職率はほぼ100%」、「年々増加で職場の中にワーキングマザーがいるのは当たり前の状態となってきている」などのコメントをいただきました。ワーキングマザーの時短勤務利用者も”増えている、少し増えている”を合わせて74%と、多くの方々が時短勤務制度を利用していらっしゃいます。また、時短に代わる形としてフレックス制度を取り入れているという回答もございました。 ワーキングマザーの職域は”広がっている 17%""少し広がっている 33%"、女性管理職でのワーキングマザーの人数は”増えている 3%”、”少し増えている 43%”、となり、少しづつではありますがワーキングマザーが活躍する場面の広がりが感じられてきました。ワーキングマザーの活き活き度や悩みについての質問では、個人差があるという回答が大半を占め、そんな彼女たちをとりまく上司や周囲のサポートについても同様に、個人差があるという回答が大半となりました。施策については制度以外に子育てに関する悩みを話し合う場を設けたり、ママランチ会を実施するなど積極的に取り組んでいる企業が69%となっているものの、キャリア形成や男性、女性の意識改革、風土改革などに問題、課題を抱えていますか?という質問には“ある、少しある”を合わせると94%という高い数字の結果となりました。今回、アンケートに回答いただいた女性のうち半数がワーキングマザーであり、子供を産んでも働き続けるのが当たり前の時代となっている現状が反映されていると感じられました。

*キャリアカウンセラーからの発表*

最初に山岡正子より、自身がワーキングマザーとして働き続けてきた経験も踏まえて女性活躍再就職支援の現場から感じたことを伝えさせていただきました。

女性が働き続けることが当たり前となった時代において、未だ約6割強の女性が結婚、出産を機に会社を辞めている現実があります。退職の理由としてあげられるのは、「制度はあるけど使っている人がいないし、申請できる雰囲気ではない。」「責任のある仕事を任されなくなり、居心地が悪い。」「産む自由、産まない自由、同じ女性からの風当たり。」などなど。「頑張りたい!」「働きたい!」とは思うけど、今の環境では将来の働き方が描けなくなってしまったと言って退職してしまいます。しかしながら、金銭的にも自分の成長のためにも働きたいという気持ちは強く、保育園、幼稚園への入園時期に再就職を考えます。正社員として働き続けていれば時短を使いながら子育てができますが、まだまだ親の手が必要なこの時期に、フルタイムの正社員として再就職することは、ママ自身が躊躇してしまいます。パート社員で働く?保育園っていくらかかるの?パートで保育園って、、、赤字?子供が小さいと敬遠される?企業はワーキングママを待っているのだけれど、一歩を踏み出せずにそこから数年、家庭に留まってしまうママ達もいます。そして、小学校、中学校への進学のタイミンングで、ふたたび再就職を考えます。子供に手がかからなくなり、家にいるのは私だけ。家族のために退職したけどもう一度働きたい!輝きたい!でも、10年以上のブランク、私に何ができるのか?大企業に勤めていた過去は、全く役に立たない。キャリアを持たない自分に自信喪失し、自分にできることは何もない、というような自己否定の気持ちを抱いてしまいます。行政、企業、既に制度は整っていると思います。大事なのは結婚、出産、育児は特別なことではなく、長い会社人生の中の一通過点であり、見守り助け合える環境と柔軟性だと思います。企業はワーキングママの成長機会を奪わず、期待と承認の気持ちを持って育ててほしい。そしてワーキングママは自信と責任を持って、自分の人生を選んでいってほしいと思います。

 

続きまして、川村貴子より今回のテーマに対して、ワーキングマザーの目線で発表させていただきました。

近年、女性たちは結婚しても出産しても仕事を続けていくことは珍しくなくなってきました。それは、女性たちが働き続けていくことへの理解が広まってきたからなのでしょうか?確かに、育児休暇や時間短縮制度など国や企業側が様々な施策をつくり、昭和の時代に比べたら働きながら子どもを生み育てる環境は整ってきています。私は、今まさしく小学4年生と保育園の年長の男の子の子育てをしながら働くワーキングマザーです。子どもを育てながら働くことは、まさに毎日が綱渡りの連続です。子どもがインフルエンザなどの感染力のある病気になってしまうと、1週間近く小学校や保育園を休まなくてはいけない。そんな時、実家のサポートがなかなか受けられない我が家では夫婦でなんとか仕事を調整して休みをとるしかありません。ベビーシッターなどの外部の力に頼るためには、相当の費用が必要です。特に地方になれば、そういったサービスも受けられないところが多くあります。企業でワーキングマザーを支えるいろいろな施策も作られていますが、日本の企業の中でそんな企業はごくごくわずかな大企業のみ。日本の99.7%を占める中小企業では、育児休業制度があっても職場に復帰できない現状が今も多くあるのです。職場復帰できたとしても、子育てしながら働き続けていくことに悩みは尽きません。ワーキングマザーにとって、経済的支援や制度の整備も大切なことですが、企業の経営陣は短期的な結果ばかりを期待するのではなく、中長期的に取り組む覚悟が必要なのです。そして、何より女性活躍推進を進めていく上で、一番大切なことは職場の雰囲気=社風です。急に休まざるを得ないときに「大丈夫だよ、お互い様だよ。」と言い合える。そして、「うちの会社にはあなたが必要なんだよ。応援しているよ!」という上司や同僚からのメッセージ。自分の存在価値を職場で感じられたとき、女性たちは、ワーキングマザーたちは、母性はフル回転して仕事に向き合っていくのです。限られた時間の中で精一杯の成果を出せるよう働き、限られた時間の中で子育てを楽しんでいく。ワークもライフも幸福感が感じられるのが一番なのではないでしょうか?そんなワーキングマザーの実情を知っていただき、女性活躍推進に活かしてほしいと考えています。

*グループディスカッション*

今回は発表者の川村と山岡を囲む2つのグループで、グループディスカッションを行いました。その一部をご紹介します。まずは各社の育児時短制度について意見交換がなされました。小学校4年生まで時短で働ける企業、フレックス制度の導入で個々が柔軟に対応している企業など様々でした。また、時短勤務者の働き方・モチベーションについても話が広がりました。職種や業務内容による個人差があることを前提として、誰から見ても効率よく働き成果を上げている人と、楽をしているように見えてしまう人の二極化しているというのが、多くの企業での共通認識でした。後者について、現役ワーキングマザーである川村さんの意見が印象的でした。「そもそも働くということは、雇用者から賃金をもらっているわけで、その対価として成果は出さなければならない。働く時間が短くても、楽をしているように見えるのは問題。上司がきちんと話をする必要がある。」仕事と育児の両立についての話題では、結婚したばかりの女性が子育てと仕事の両立にかなり不安を感じていたので、先輩ママからより具体的な両立術のディスカッションが行われました。仕事で工夫していることとして、大きく3つ。(1)仕事は常に前倒しにすること。(2)急な休みに備え、他の人が見てすぐにわかるよう整理整頓、見える化しておくこと。(3)子どもが病気しないよう手洗いうがいの徹底、予防接種など、とにかく予防をしっかりすること。残業や子どもが病気のときは実家が離れていて援助を得られない方は本当に苦労されているようです。夫婦でその日の仕事内容によってどちらが休むかを決める。でも結局は女性の負担が大きい。ベビーシッターにお願いするなど何とか乗り切ってきた。中には、ママ友同士が協力して子どもを預けあうなどというケースもあるとか。でもやっぱり一番は夫の協力。手伝いというよりほとんどの家事・育児はやってくれる。1人目のときはそうではなかったが、2人目ができたときこのままの状況では両立できないことから夫がすべて分担してくれるようになった。という意見も。また、子どもの成長とともに家事は楽になるし子どもに助けられている。2人とも男の子でも家事は協力してくれる。など、ワーキングマザーの子どもはしっかりと育メンとしての教育を受けているようです。

これからは、育児時短のみならず、介護時短勤務者も増えていくことと思います。限られた時間でいかに成果を上げるか、その評価をどうするかなど、社員の意識改革や企業側の対策を今後ますます進める必要があると感じました。

次回の研究会は、「予算ゼロでも会社を変える!立ち上がった女子力パワーの広がりと可能性」と題して、728日(火)に開催します。たくさんの皆さまのお越しをお待ちしております。

文責:株式会社日経BPマーケティング 神田絵梨、キャリアカウンセラー 川村貴子、ディ・マネジメント株式会社 田中慶子、キャリアカコンサルタント 山岡正子

【2015年5月19日(火)開催 第90回 女性と組織の活性化研究会レポート】

50代からの働き方、生き方、避けられない介護と仕事の両立」

 第90回となる女性と組織の活性化研究会は、「50代からの働き方、生き方、避けられない介護と仕事の両立」をテーマに、双日株式会社 人事総務部 人事・ダイバーシティ推進課 長島裕子氏に事例発表者としてご登壇いただきました。

概要は次のとおりです。

*第1部*13301500

・植田ミニ講義

・事例発表(質疑応答含む)

*第2部*15301630

・グループディスカッション

以下に、当日の様子をご紹介させていただきます。

*主催者によるミニ講義*

 今回のアンケートは26社の皆様からご回答いただきました。現在、50代の社員の割合が3割以上の企業様が20%3年後の比率については、80%の企業が増加傾向になるという回答でした。50代の方々のモチベーションについては、高い0%”やや高い19%”やや低い19%”人による54%”となり、植田自身も研修で50代を教えることがあるが、やはり元気がある人は少ないと感じられるとのことです。介護の問題を抱えている社員の数は、多い8%”やや多い15%”に対し、わからない46%”という結果となった一方、回答者ご自身に対して介護の問題、悩みを抱えていますか?の問いには、66%の方が抱えているという結果となりました。介護支援の制度は整っているものの、社員自身が介護の問題を抱えていることを会社に言わず、会社側としても表面化していないのでその数が把握できていない、というのが実情のようです。

 植田からは、50歳からの人生と50代のモチベーションについて、自分自身の経験も踏まえた話をさせていただきました。親の介護をしながらも、自分の老後に不安を持つ50代、仕事を頑張ってきた人こそ、役職がなくなり収入が減るとモチベーションが下がってしまう。50代からを活き活きと生き、働くためには「人生50年で、生まれ変わる気持ちが大切!」。自分の人生をどうやって生きていくのか、そこには働く上での夢や目標はあるのか。自分自身の人生を正面から受け入れ、人生の師匠としてどれだけの人を育てられるのか。人を育てられる人こそが、会社にとっても重要な役割だということに気づき、人生観をシフトしていくことが重要だと熱く語られました。

*事例発表*

 続きまして「仕事と介護の両立支援」をテーマに双日株式会社 長島裕子さんからお話しいただきました。双日株式会社は、それぞれ長い歴史を持つニチメン株式会社、日商岩井株式会社をルーツに持ち、国内外約410社の連結対象会社とともに、世界約50の国と地域に事業を展開する総合商社として、幅広いビジネスを展開していらっしゃいます。

ダイバーシティの取り組みとしては、女性活躍推進、障がい者支援、ワークライフバランスを3つのコンセプトとして捉え、女性活躍推進においてはスキルアップ研修や制度インフラの整備を進め、障がい者支援においては障がい者の雇用促進を目的としたセミナーや特例子会社の設立などを行ってこられました。ワークライフバランスの取り組みとしては「仕事と育児」、「仕事と介護」の両立を図れるよう、さまざまな支援制度が導入されており、子育て支援では、26か月まで延長可能な育児休職、小学校3年終了時まで利用できる育児短時間勤務制度のほか、べビーシッター利用補助制度、育児休職者復帰支援プログラムなど、社員が安心して勤め続けられる充実した制度をご紹介いただきました。介護面では国の施策に沿って長い期間を経て作り上げられてきた制度があり、介護休暇日数の拡充、複数回取得可能な介護休職制度、介護短時間勤務制度、介護による退職者の再雇用制度のほか、外部機関を利用した遠距離介護サービスや高齢者見守りサービス等も導入されているそうで、働きながら介護を続けられることが考えられた、とても充実した施策だと感じられました。

2010年からは「介護保険制度基礎知識セミナー」、「介護座談会」、「安心介護の心構え」、「支える人を支える」などのテーマで外部から講師を招いたセミナーを開催し、40歳代、50歳代の多くの方が参加されていらっしゃるとのこと。自分ごとと考える男性社員の関心も高く、介護に携わる人の状態を認め、介護で大変な思いをされている社員の方が自分たちの周囲にいるんだ、ということに気づいてもらうきっかけとなったそうです。セミナーの中では介護施設や在宅介護の仕組みや一人で悩まずに上手に介護制度を利用するポイント、そもそも重度の介護にならないための心構えなど、講師自身の幅広い知識や経験に基づいた話が聞け、多くの方から「妻にも是非聞かせたい、社会的にもこのようなセミナーがあると良い」という感想が寄せられたとのことでした。長島さん自身もご家族の介護を経験されており、社員の数だけ介護の状況も様々であるからこそ、多様性を尊重して安心して勤め続けられるような制度を推進していきたい、とおっしゃっており、温かな思いが伝わる素敵な発表を聞かせていただきました。どうもありがとうございました。

 

*グループディスカッション*

主宰者の植田と発表者の長島さんを囲む2つのグループで、グループディスカッションを行いました。その一部をご紹介します。

 植田を囲むグループでは、近いうちに介護を背負いそうな方のお話や植田の介護体験談を中心に話が進みました。大変でも子供の成長が喜びに変わる子育てとは違い、介護の場合はとにかく精神的に参ってしまうため、周囲に相談する人・心の支えが必要であることがよくわかりました。介護について、親が健康なうちに話し合っておくことの大切さはわかるが、どのように切り出したらよいか、何を話しておくか等、意見が交わされました。

 長島さんを囲むグループでは、双日さまで実施された介護セミナーのことや、介護休暇取得に関する詳細について質問がありました。お話を聞いていると、病院の付き添いや、要介護者が介護認定されていない状況でも介護取得は取得できるとのことで、運用面で工夫されていることがよくわかりました。

一般的には未だ、「介護で休む」というと評価に響くのではないかと気にして、人事や社内の人に隠している人も結構いるかと思います。ただ、近い将来、介護を理由に働き方を変えなければならない人が増えると予想されますので、今から社内で理解を深めていくことが大切だと改めて感じました。

次回の研究会は、「子育て中の女性達が活躍するために必要な企業の施策とサポートとは〜彼女たちの悩み、不安と対峙してきたキャリアカウンセラー達からの提言〜」と題して、619日(金)に開催します。今回は通常の企業事例発表ではなく、ワーキングマザー講師2名による特別講演です。たくさんの皆さまのお越しをお待ちしております。

文責:キャリアコンサルタント 山岡正子、株式会社日経BPマーケティング 神田絵梨

【2015年4月22日(水)開催 第89回 女性と組織の活性化研究会レポート】

「労働組合が昭和体質を脱皮し、女性活躍&ダイバーシティのリーダーになる必然性」

  89回となる研究会は、1424名の皆様に参加いただき、「労働組合が昭和体質を脱皮し、女性活躍&ダイバーシティのリーダーになる必然性」をテーマにUAゼンセン 流通部門 執行役員パート総合対策部長 宮島佳子氏にご登壇いただきました。

概要は次のとおりです。

*第1部*13301500

・植田ミニ講義

・事例発表(質疑応答含む)

*第2部*15301630

・グループディスカッション

以下に、当日の様子をご紹介させていただきます。

*主催者によるミニ講義*

今回は事前アンケートに25社からご回答を頂きました。「労働組合三役(委員長、副委員長、書記長)に女性はいますか?」という問いには、“いる12%”と三役はまだまだ少ないという回答となりましたが「労働組合の執行委員に女性はいますか?」という問いには、“いる76%”、「女性の執行委員の人数はこの3年で増えていますか?」という問いには“増えている32%”と女性執行委員が増えているという結果となりました。「労働組合は昭和体質(軍隊組織的)になっていますか?」という問いには、“やや違う12%、違う20%”「労働組合の体質は、ここ3年で変化してきていますか?」という問いには、”変化している28%、少し変化している16%“と変わってきてはいるものの、「現在の労働組合の体質や体制に問題や課題を感じますか?」という問いには“感じる28%、少し感じる40%”という結果となり、まだまだ課題があり、最終男性目線であるという体質に課題を感じられています。

植田からは、終身雇用、年功序列&年功賃金、男性中心、定年退職、悠々自適の昭和の時代から、能力給、男女共同参画、多様な働き方、生涯現役、健康寿命を延ばすという変化、ダイバーシティの時代へと変化をしていかないと日本がつぶれてしまうと警笛。植田自身が企業研修を行っている中で、労働組合主体での取り組みであることで、参加者の気持ちにも変化がおきやすいと感じているため、労働組合自らが昭和体質からの脱却を目指して欲しい。そして昭和のキャリアビジョンではなく、働きがいを自ら見出し、この会社が好き、働き続けたいと社員が当たり前に思える組織風土、メンター制度、社員育成ができるのが組合なのではないかとお伝えさせていただきました。

*事例発表*

続きまして「労働組合が昭和体質を脱し女性活躍&ダイバーシティのリーダーになる必要性」についてUAゼンセン、宮島さんからお話いただきました。宮島さんが執行委員をされているUAゼンセンは、製造産業部門、流通部門、総合サービス部門と多種多様な産業が参加する、国内最大の産業別労働組合組織として201211月に結成されました。組合員の男女別割合は、男性41.6%、女性58.4%、雇用形態割合は、正社員組合員47.5%、短時間組合員52.5%と女性の短時間組合員が多くいらっしゃいますが、女性に組合での活動を誘っても、「やりたくない」と断られてしまうようで、女性がやりたくないという背景には、会議が夜や休日、泥臭い、男臭いという軍隊的な組織であるからではないかと感じているそうです。
 昭和体質の事例として、まず他国の組合活動事例として紹介いただいたアメリカでは、産業別業種別組合であり女性だけの活動に必要な資源をを使うのは無駄遣いと考えられており、また、カナダでは、団結が必要な時に女性運動は労働運動をバラバラにするとされており、女性活躍に対して出る杭を打つという状況は他国も変わらないようだというお話をいただきました。組合活動の交渉スタイルと交渉プロセスとして、「夜を徹して戦って、みんなを疲れ果てさせて最後まで粘れた人だけ交渉成立」というようなことはマニュアルにあるわけではないものの、春闘時期には夜を徹して交渉をするというようなスタイルは依然として存在しているそうです。労働組合運動は、働く人のために変化をおこさせる数少ない運動体のひとつであることは今も昔と変わらないものであり、時代の変化に対応し、変化を起こさせるチャンスをもつ団体として存在しています。

 労働組合の現在の課題としては、次世代組合役員の育成・組合員とのコミュニケーション強化・総労働時間の短縮が上げられます。組合役員には、ある程度会社に勤めていて、会社に意見を伝えられる人が必要だが、仕事のチャンス、女性としてのライフイベントなどが組合活動との壁となり、組合役員になって欲しい人はいても、やってくれる人がいないという現実があるとのことです。組合役員に求められる「人間力・感受性・好奇心・想いの強さ・思いやり・言うべきことは言う、やるべきことはやる・柔軟性・対応能力」は女性でも十分能力が活かされるのでは?と、宮島さんは感じているそうです。現在の労働条件は、介護、育児、家事をケアする必要がないケアレス男性をモデルで作られているので、これからの労働環境整備には、ワーク・ライフ・バランス、ファミリーフレンドリー制度、機会の均等から実態の均等へという考え方が必要であるとのこと。
 女性活躍の課題解決の糸口としては、戦略的に権力を持つ側への挑戦として女性がポストをとりに行くのか、女性の役割は母や妻などといった福祉の機能として整えてとしていくのか、どちらの方向性で組合が取り組んで行くのかを考える必要があるようです。また、時短の管理職を作り、育休中を勤続年数にカウントすることや、男性も「家庭の仕事」を担うなど、この点についても、労使で考えることとして、少数派と決め付けずにスタンスを決めることも必要と考えておられ、女性目線を求める一方で、本当の女性目線を受け入れないのは「ケアレス男性が基本」で当たり前となっているからであると考えているそうです。女性役員に期待することとして「軸を持つ、遠慮しない、おかしいものはおかしいと言おう」というスタンス、期待される女性目線とは「感性」と「母性」を活かすこと、自分だけでやろうとせず周りを巻き込むということで課題解決に近づいていくのではと思われています。
UAゼンセン流通部門では、土日・祝日、夜間年末年始働いている女性のため、休日保育の充実を求める流通100万人署名の取り組みを行っているそうです。この取り組みでは、保育関係者の方に遠慮して取り組みを行わないのではなく、全ての女性が活躍できる社会にという思いで実施されているとのことでした。
 UAゼンセン安藤さんからは、イオンリテールワーカーズユニオン専従男女比率についてお話を頂きました。女性22人、男性48人で、専従役員70名中女性役員は22人で、女性役員比率は31.4%。イオンでは20年前から女性専従の方がいらっしゃったので、女性が活躍しているのが当たり前だったそうです。まずは組合から取り組みを始め、会社へも女性活躍推進をお願いし、女性の働き方を良くする事で、男性の働き方も変わるという結果につながったとの事でした。
 発表を通じて、宮島さんの女性活躍推進へ強い想いが伝わってきました。宮島さま、ありがとうございました。

*グループディスカッション*

主宰者の植田と発表者の宮島さんを囲む2つのグループで、グループディスカッションを行いました。その一部をご紹介します。
 植田を囲むグループでは、アンケートの回答結果を参照しながら、各社労働組合の取り組み状況について発表し合いました。ある企業からは、「労使協調で取り組んでいる企業に、どのような活動をしているか聞きたい」との質問が出て、活発に意見が交わされました。
 宮島さんを囲むグループでは、「休日保育の充実を求める流通100万人署名」の話から「事業所内保育」にまで話が及びました。事業所内保育所の数はここ数年ほとんど増えていないそうです。企業で事業所内保育所の設置が進まない理由としては、設置費や運営費等の負担が大きいことの他に、「休日も働けといわれているように感じる」「通勤ラッシュの中、子どもを連れて行くのは現実的に無理」といった利用者側の声もあるようでした。
 休日保育の拡充については、対応する側の保育士の協力が欠かせないため、その点の配慮も必要となりそうです。偶然参加者の中に元保育士の方がいらして、現場の状況をうかがったところ、休日預ける人の中には見るからに遊びに行く服装で子供を預けにきた人もなかにはいたようで、これからは働く人が優先的に預けられる場所が必要となるだろうとのことでした。これから署名運動を進める宮島さんにとっても、参考になる情報のようでした。
 
次回の研究会は、「50代からの働き方、生き方、避けられない介護と仕事の両立」と題して、519日(火)に開催致します。女性活躍推進とあわせて、今後さらに注目されてくるテーマとなりますのでどうぞよろしくお願い致します。

文責:小松多恵子、神田絵梨

関連セミナー&講演情報
●2017年7月27日(木)28日(金)
『モチベーション・マネジメント研修』
会場:日本生産性本部(東京・渋谷) 対象:管理職 及びその候補者、中堅リーダークラス、労働組合役員 等の方々

●2017年9月7日(木)8日(金)
『女性リーダー・エンカレッジ(応援)研修』
会場:日本生産性本部(東京・渋谷) 対象:女性リーダー、リーダーを目指す女性社員(定員24名)

●2017年10月19日(木)20日(金)
「モチベーション・リーダーシップ」公開コース
会場:NOMA 関西本部 専用教室(大阪科学技術センタービル内) 対象:管理職及びその候補者、中堅リーダークラスの方々など

●2017年11月16日(木)17日(金)
女性リーダーのためのエンカレッジ(応援)研修
会場:NOMA 関西本部 専用教室(大阪科学技術センタービル内) 対象:女性管理職及びその候補者、 中堅リーダークラスの方々など

●2018年2月15日(木)16日(金)
『女性リーダー・エンカレッジ(応援)研修』
会場:日本生産性本部(東京・渋谷) 対象:女性リーダー、リーダーを目指す女性社員(定員24名)