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ダイバシティ時代、グローバル化時代において、女性の活躍推進を基軸に企業の活性化、日本社会の活性化を目指します。参加企業メンバーが互いの実体験、課題を共有しながら、さらなる取り組みへの方向性を見出すことと、企業を超えてのネットワークの構築のための研究会です。

【2015年1月30日(金)開催 第85回女性と組織の活性化研究会レポート】

「だからこそ増えてほしい!女性執行役員たちが見た会社の景色、気づき」

 

2015年、1回目となる今回の研究会は、「だからこそ増えてほしい!女性執行役員たちが見た会社の景色、気づき」をテーマにカルビー株式会社さまより3名の方に発表いただきました。

人事総務本部人事総務部長兼ダイバーシティ委員長 高橋文子氏

執行役員コーポレートコミュニケーション本部長 後藤綾子氏

執行役員経営企画・IR本部長 早川知佐氏

 

概要は次のとおりです。

*第1部*13301500

・植田ミニ講義

・事例発表(質疑応答含む)

*第2部*15301630

・グループディスカッション

当日は2238名(オブザーバー含む)の方にご参加いただき、植田の講義、カルビー株式会社さまの事例発表、そして第2部のグループディスカッションという形式で開催されました。

 

以下に、一部となりますが、当日の様子をご紹介させていただきます。

 

*主催者によるミニ講義*

今回は事前アンケートに36社から回答をいただきました。

「あなたの会社に女性役員、経営陣(取締役・執行委員)はいますか?」という問いには、“常勤でいる19%”、“社外取締役でいる19%”、という回答となり、「今後3年以内に女性役員が誕生する、増える可能性は?」の問いには、“ある6%”、“少しある11%”という結果となりました。女性役員を増やすことに積極的な男性経営陣は、“積極的 9%”、“やや積極的 17%”と約25%の前向きな数字を得たものの、理解だけで行動に結びつかない、対象となる女性社員が少ないなどの課題があり、「総論賛成、各論反対」、「表向きは賛成しているのだが...」というように、実際には難しいと感じているコメントもあげられていました。実際に女性役員が実在する企業からは、女性役員の態度、行動の違いとして、「自分ではなく皆が主役という意識を持っている」、「育てる、という意識が感じられる」などの意見が挙げられており、「女性役員の誕生や増加で、会社は変わるでしょうか?」の問いには、“良い変化がある42%”、“少し良い変化がある29%”という結果に高い期待が感じられました。
 植田自身が長年にわたる男性経営陣に対する研修を行って感じているのは、約
2割の古い体質の方が持っている“年功序列、男尊女卑の価値観”が、女性活躍推進、ダイバーシティ推進の壁となって見え隠れしているということでした。母性の開花した女子力は、本能として人材育成に取り組み、10年後に自分がいなくなった後の社員のことを、本気で心配して進めています。女性の視点と視野(見えるもの、感じること)は男性と大きく異なります。管理職になることは働き続けたゴールではなく、何をするためにその立場に立つのか。昭和な体質を捨て、変化に富んだ平成の風土改革に踏み出すためも、経営層に女性が3割以上入る必要性が熱く語られました。

 

*ゲストによる事例発表*

“生え抜き、中途、そんなの関係ない。” 高橋さんからは会社紹介と共に、人事制度についてお話しいただきました。「女性の登用、やめられない、とまらない」2010年より松本会長の指揮の下、取り組まれた女性活躍推進、ダイバーシティの成果は利益も売上高も毎年成長を続け、女性管理職比率は6%弱から14%強へ、2014年には「なでしこ銘柄」に選定。現在、トルコ人の女性や中国人の男性の取締役と4名の女性執行役員を抱えている同社では、2020年には女性管職比率30%を目標に明確な数値の比率目標を掲げていらっしゃいます。人事制度についは、「この成長を加速し、強い組織へ」「自立的に成長し、成果を出し続ける人、組織づくり」をするために大幅な評価制度の改定を行い、それまで複雑で見えにくかったものをよりシンプルに公正に成果を出した人が評価される仕組みへと変えていったそうです。契約と結果責任をベースに自分自身の目標を決め、上司にコミットする評価制度では、自分の上司がどんな契約をしているのかをもイントラネットで見ることができる、オープンな仕組みとなっているそうです。また、興味深かったのは『人財交流サミット』。管理職をはじめとする人事を関係する管理職が一堂に会して決定していく場です。本部長は自分の業績責任を果たすために必要な部長を指名、部長は課長を指名し、『人財交流サミット』にて人事が決定するという仕組みです。またそれ以外にも様々なチャレンジ制度(役職チャレンジ、4年目チャレンジ、新卒ドラフト、海外武者修行チャレンジ)が設けられており、チャレンジすることが風土となっている環境が感じられました。

後藤さんからは入社してから今までを振り返り、その時々でやってきたこと、考えたこと、感じたことをお話しいただきました。入社当時は営業職として入ったものの、これからというときに秘書へ。その後秘書をしながらNPOへの参加や風通しのいい職場づくりのプロジェクト『フリーアドレス制』に取り組み、2010年ダイバーシティ推進委員長へ。2年後の2014年に広報部長に抜擢されたそうです。その時、「まだ自分には早いのでは・・・」と思ったそうですが、先に3名のお姉さま方(女性執行役員)がいらしたので、思い切って引き受けたそうです。このポジションになって良かったことは、意思決定者と直接話し合いができるようになったことで、問題を自己完結できること。だからこそ自分でなければできないことをしっかりと果たさなければいけないと考えているとのことです。

早川さんは前職で証券会社、中堅通販会社を経てカルビーにIR担当として入社され現在までのことを自然体で語ってくださいました。最初の証券会社でよい上司に出会い、働きながら税理士資格を取得されたこと、次の中堅通販会社では管理職になり、マネジメントがうまくいかず苦労されたこと。でもその経験のおかげで肩の力が抜け、今のマネジメントに活かすことができているそうです。今、女性活躍推進が一種のブームになっており「女性だから執行役員になれたのだ」と言われることもあるが、「それの何が悪いのか」と開き直っている。これまでは優秀でも女性だということで昇進の機会が限られていた。「今はチャンスなので、昇れるだけ昇って力を発揮してほしい」とメッセージをいただきました。みなさん自然体で活き活きしていらっしゃる姿がとても素敵でした。

 

*グループディスカッション*

主宰者の植田および発表者の高橋様・後藤様・早川様を囲む2つのグループで、グループディスカッションを行いました。その一部をご紹介します。

 今回のディスカッションでは、いま役職についていない女性に対して、どのようにアプローチしているかというテーマで議論が展開しました。カルビーさまでは、1人ひとりと話すことで、その人の興味・関心は引き上げられるとの手ごたえを感じているそうです。「管理職になりたくない」という女性に個別に話を聞いてみると、なれないと決めつけてしまっているケースが多いとのこと。「一歩前に踏み出すこと」がダイバーシティ推進には重要、という高橋さんの発言に、参加者みなさんが大きく頷いていました。

 後半は、長時間労働を改善するため、カルビーさまで具体的にどのようなことをしているかをお話しいただきました。まずは評価制度の中で、長時間労働を評価しないこと。そして生産性を上げるために、管理職のワークショップ内で年に1回業務の無駄を棚卸ししているそうです。「今すぐやめるべきこと」「いいことだから続ける」「やらなきゃいけないけれどできていないこと」の3つに分類。とにかくシンプルにすることを常に考えているとのことで、この取り組みは参加者のみなさまにも参考になったと思います。

 

文責:キャリアカウンセラー 田中慶子、株式会社日経BPマーケティング 神田絵梨、キャリアコンサルタント 山岡正子

【2014年12月17日(水)第85回 女性と組織の活性化研究会 総会レポート】

2014年最後の研究会は、「拡大総会」でした。当日は913名(オブザーバー・事務局あわせて23名)が参加し、冒頭に植田のアンケート結果総括のあと、各社からの発表を行いました。今年で6回目となる拡大総会。例年より若干参加企業が少なめでしたが、その分1社ずつ内容の濃い発表をしていただくことができました。

以下、今回の研究会の内容について、それぞれ一部分をご紹介します。

 

*主宰者によるミニ講義*

事前に集計した34社のアンケート回答では、女性活躍推進・ダイバーシティ推進に取り組んで2年以上という企業が7割近くでした(5年を超える244518

23 25%)。また、6割以上が「この1年間で女性活躍推進・ダイバーシティ推進が進んだ」と回答しました(/覆鵑 24% ⊂し進んだ 37%)。具体例として、「今年、ワーキングマザーの女性管理職が増えたか」の問いに、増えた9%、少し増えた30% あわせて39%が「増えた」と回答。成果が出つつあるものの、依然として子育てと管理職の両立が非常に難しいことも浮き彫りとなりました。

ダイバーシティ推進という切り口では、60歳以上の雇用が増えたかを質問。7割以上が「増えた」と回答しました(〜えた43% ⊂し増えた30%)。シニア雇用は政府の方針も含めて自然に増加しています。この世代の働き方・モチベーションは、今後企業の中で「女性活躍推進」と同じくらい重要なテーマになるでしょう。

研究会登録メンバー自身への「この1年間の仕事の充実度、満足感があるか」という問いに対して、約8割が満足感ありと回答(,なりある27% △笋笋△52%)。研究会メンバーのモチベーションの高さが数値によく表れているなと思いました。

 

*各社事例発表*

【事例発表企業】 ※「株式会社」等の表記は割愛します。

YKKさま、オムロンさま、オール・デサント労働組合さま、トクラスさま、ニトリ労働組合さま、タビオさま、三菱自動車工業さま、UAゼンセン流通部門さま、ユーシーシーヒューマンインタレストソサエティさま

 

2014年に実施した女性活躍・ダイバーシティ推進の施策の成果、今後の課題、女性活躍・ダイバーシティ推進にかける思い、そして2015年以降の目標などについて、熱く語っていただきました。ここではすべてを紹介できませんが、以下、発表の内容について、簡単に紹介します。

☆YKKさま

ダイバーシティ実践の効果は、全ての社員にとって働きやすい、活躍しやすい風土となり事業・会社の発展につながることと考え、社長自らがその考えを研修などで伝えています。YKK株式会社では20134月に「ダイバーシティ企画室」が設置され、ダイバーシティの啓蒙活動の推進、浸透を進めています。社内の事業ごとの特性・地域性等を勘案した社員の声を反映した施策の実施などで社員の意識を変えていくことを進めています。製造の本拠地である富山県においては、テレビやラジオでその活動が取り上げられ始めました。しかし、まだまだ緒についた段階と認識しています。CSRの一環である障がい者雇用・定着では国の基準を十分に達成し、障がいを持った社員がさらに働きやすい職場環境を整備しています。

 

☆オムロンさま

企業理念における経営指針の一つに「個人の尊重」を掲げ、国籍や性別、障がいの有無に関わりなく、自分の価値観や考えを有した多様な人材が個性や能力を発揮し活躍することが、会社と個人の双方の成長につながると認識しています。特に、女性活躍は重要なテーマであることから、専門部門を設置し、取り組みを加速しています。ただ、女性活躍推進は、女性が思う輝きと上司が期待することが違うことがあります。 そういったことも十分理解し、100人=100色、描くゴールもまちまち、> それぞれが描く ゴールに向かっていきいきと輝けるように、コミュニケーション(対話)&コラボレーション(腹落ち)を実践していっています。

 

☆オール・デサント労働組合さま

Smile&Dream20142014の活動テーマとし実践してきました。具体的にはadu-cafeの開催 外部研修会への派遣 Kansaiなでしこcafeの立ち上げを実施しました。,砲弔い討蓮⊇性総合職のグローバルコースを対象として実施し、転勤可能な女性総合職としての悩みの聞き取りを行いました。またメンター・メンティ制度導入に向けた説明を女性組合員を中心に開催。さらに支店・営業所の少人数で働いている女性組合員との意見交換会をWEB会議を使って実施しました。今までの活動による成果としては、(1)労働組合主催で昨年実施した「上司と部下の合同研修会」が会社主催になったこと(2)会社の経営陣が事あるごとにダイバーシティについて言及し始めたこと(3)会社の経営課題プロジェクトの中にダイバーシティが組み込まれたこと などがあります。つまり労働組合から発信してきたダイバーシティについて、ようやく会社全体を動かし始めたことが大きい成果と感じています。

 

☆トクラスさま

1年ほど前にヤマハリビングテックから社名変更いたしました。業種はシステムキッチン・システムバスルームなどの住宅設備の製造販売で、企業理念は『お客様の「まいにち」と暮らす。』です。従業員数は900名、内女性は約半数の470名。2014年のダイバーシティ推進としては3月にくるみんマークを取得、6月からは社内報で「きらきら社員紹介」などを行い、地域を超えて両立経験者のメッセージを届けています。2015年は、産休・育休に対する心構えとガイドラインを作成し、産休・育休取得者、上司、人事での三者面談を開始する予定です。

 

☆ニトリ労働組合さま

2012年「働き方検討委員会(HKI)」で女性社員の不安を解消するために一緒に考える活動
を始め、 2013年は「ダイバーシティ推進委員会」を会社組合の協働発足。2014年は植田先生を招いたセミナーを含め、引き続き両委員会の活動を推進。制度改定として妊娠期も短時間勤務可、時短5時間可、再雇用制度の開始、ガイドブックの発行に至りました。初めて開催したNJミーティングでは女性役職者119名が参加し、「理想の働き方」・「活き活き働いていく為には?」をアウトプットするカリキュラムなどを行いました。2015年は、HKIの地域開催とダイバーシティ推進委員会の課題の改善・解決を形にしていきたいと考えています。1つ1つを進めていくことで、皆の笑顔が繋がっていく、働き続けられる環境と風土づくりを目指しています。

 

☆タビオさま

「靴下屋」「Tabio」「TabioHOMMECHAUSSETTE」というブランドで、全国各地に店舗展開しています。2014年は自社で女性活躍推進、ダイバーシティ推進について取り組むべき問題ではないかと感じ、まず自分に何ができるかと、様々なセミナーに参加して、まずは勉強をしました。そして、外から会社をみて自社の実態もわかりました。会社の成長は社員の成長なくしてはないということを改めて実感しました。そして、先月、自分の得たさまざまな知識と経験をもとに、企画書を専務に提出するとこまで進めることができました。来期に向けてまだまだ企画書の修正や困難がありますが、次回の総会では、実施報告ができるよう努めていきます。

 

☆三菱自動車工業さま

20147月に専門職制ダイバーシティ推進部が発足し、まずは女性活躍推進から取り組んでいます。当社ではダイバーシティ推進を『Di@MoND(Diversity @ Mitsubishi Motors NewDrive)活動』として進めています。女性活躍推進については、「意識変革」「活躍の場づくり」「人事制度」の3本柱で取り組み、今期は「意識変革」に重点を置き、社長と女性社員の懇談、役員研修、管理職向けダイバーシティ研修、女性社員向け階層別研修、育児勤務者向け研修、育児勤務・育児休業者を部下に持つ管理職向け研修などを行いました。また、『Di@MoND活動』に関わる内容を社内報、社内イントラネットなどで積極的に情報発信しています。更に「人事制度」では育児・介護勤務者のフレックスタイムを併用可能にするなど両立支援にも取り組んでいます。今後も『Di@MoND活動』を継続していきます。

 

☆UAゼンセン流通部門さま

今年は男女共同参画、女性活躍推進をメインに取り組みました。労働組合では、女性役員比率30%を目指しています。まだ達成はできていないものの、 女性3役は着実に増えてきており、意見も出しやすくなってきました。流通小売業界は働く環境が特殊(勤務時間、休み)なので、男女とも「定着」することが大きな課題となっています。女性活躍推進の取り組みは、正社員だけでなくパートタイマーの女性へも広めたいと考え、また、ぜひ時短管理職を輩出し、ロールモデルを増やしていきたいと思ってます。

 

ユーシーシーヒューマンインタレストソサエティさま

労働組合のプロジェクトチームである“Sweet Office Project”では第13回全国女性メンバー座談会を開催し、女性社員同士の横のネットワークづくりと自己啓発に取り組みました。また年4回発行している組合機関誌では、「おしゃべりカフェ」というコーナーを設け、頑張っている女性の情報の共有にも取り組みました。他に、婦人科検診セミナーの実施、ピンクリボンスマイルウォークへの参加や出産・育児ガイドブックの作成などに取り組んでいます。今後は会社との連携をとりながらダイバーシティの推進を進めていきたいと思います。

 

次回の研究会は、「「だからこそ増えて欲しい!女性執行役員たちが見た会社の景色、気づき」と題しまして、2014130日(金)に開催致します。たくさんの皆さまのお越しをお待ちしておりますのでどうぞよろしくお願い致します。

 (文責 事務局一同)

【2014年11月5日(水)開催 第84回 女性と組織の活性化研究会レポート】

「高学歴リケジョ(理系女子)の夢と戸惑い!必要なのはロールモデルと上司の応援」

 

 今回の研究会は「高学歴リケジョ(理系女子)の夢と戸惑い!必要なのはロールモデルと上司の応援」をテーマに実施しました。

概要は次のとおりです。

*第1部*13301500

・植田ミニ講義

・事例発表(質疑応答含む)

*第2部*15301630

・グループディスカッション

当日は2025名(オブザーバー含む)の方にご参加いただき、植田の講義、大日本住友製薬株式会社 本間さんの事例発表、そして第2部のグループディスカッションという形式で開催されました。

 以下、今回の研究会の内容について、それぞれ一部分をご紹介します。

*主宰者によるミニ講義*

事前に集計した34社のアンケート回答では、「割合的に理系女子の少ない会社が大半を占めるものの、その数は徐々に増えつつある」という傾向が読み取れました。

安倍総理の成長戦略にも盛り込まれている通り、「女性の活躍推進について、本腰を入れなければならない時代がやってきた」という認識は、各社とも共有しておられるようです。

理系女子のキャリアプラン(継続成長施策)についても、ある程度体制整備が整っている会社が多い一方で、肝心のロールモデルやメンターとなる先輩がいない、あるいは少ないといった状況が、アンケート結果から浮き彫りになりました。

 理系女子に限られた話ではないのかもしれませんが、昭和の時代、結婚・妊娠・出産・子育てといったライフイベントと『仕事』の両立というのは非常に困難であり、また会社側もそれを望んでいなかった節があります。『家庭』を選んだ女性は『仕事』を諦める、あるいはサポート役に回らざるを得なくなり、『仕事』を選んだ女性は猛烈な働きを求められた結果、ロールモデルが両極端化してしまったのではないでしょうか。

 植田は、オールドキャリア時代とニューキャリア時代を比較し、「女性にキャリアはいらない」と言われた過去の経験や、男性上司の本音(働く女性の応援はしたいが、産休や育休のことを考えると、男性部下のほうが扱いやすい等)を踏まえながら、上司との人間関係の重要性について言及しました。また、メンターについては、「自分で探すもの」としたうえで、自身のメンターである60代と80代の女性について語りました。

 

*ゲストによる事例発表*

今回は、大日本住友製薬株式会社 研究本部 研究管理部 人材企画グループ 本間真紀子さんより、ご自身の経験談を中心に研究本部での取り組みについて発表していただきました。2005年に大日本製薬と住友製薬の合併により誕生した大日本住友製薬社様は、循環器・糖尿病、精神神経系治療薬の開発に加え、最近はがん領域での新薬開発にも力を入れておられるそうです。

本間さんは、大卒の研究職(今は院卒のみ採用)ということで、入社当時は「とにかく仕事を辞めないで、長く会社に勤めてくれればいい」と言われたことが印象に残っているそうです。当時は出産を契機に、会社を辞める方もいらっしゃったそうですが、研究職の女性だと薬剤師の資格を持っている方も多く、「会社を辞めて、しっかり子育てをした後に薬剤師のパートタイマーとしてもう一度働こう」といったヤクジョ(薬学部卒の女性)特有の感覚もあったようです。最近の女性研究者の意向としては、「産休・育休を取るにしても、なるべく早く復帰したい。研究者として活躍して新薬創出に貢献したい」と考える方が多いそうです。現在、大日本住友製薬社では、女性研究者のうち43%が育児に携わっているそうです。また、社内でアンケートを取ったところ、「管理職になってもよい」と考える女性が約半数を占めたそうですが、不安要素として男女ともに経験不足や能力不足が上がる中、女性の場合はさらに「家庭との両立」がランクインしたそうです。この結果より、ロールモデルの必要性は強く感じているものの、元々女性が少ない部門ではロールモデルそのものの存在を見出すことが難しいという事情があるようです。本間さんは人材企画グループにおいて、そういった問題を解決するために、2012年度には上記『研究本部における意識調査』を実施、2013年度には『ダイバーシティ研修』、2014年度は『コミュニティづくり』を行うなど、長期的なビジョンに則って、研修等も工夫を凝らしながら、社員への意識付けを行ってきました。一例を挙げますと、管理職向けにはGM(グループ・マネージャー)研修を2日間で実施し、35歳までの若手女性に対してはキャリア研修1日コースを実施し、共に植田が講師として登壇させていただきました。受講生の方には多くの気づきを感じていただいたものの、運営面ではいくつか反省点もあり、色々と試行錯誤されながらさらなるブラッシュアップに励まれる姿勢に感銘を受けました。

最後に、コミュニティづくりにあたっては、まずは有志の小さいものから始めて、徐々に広げていくというスタンスをとろうとしておられるとの事でした。コミュニティづくりについては、同じように悩んでおられる参加者からの質問等もありましたが、着実に一歩一歩、先を見据えてプランを練っておられる本間さんの姿は、同じ悩みを共有する研究会メンバーにとっても大いに励みとなりました。

本間さん、素晴らしい発表をありがとうございました。

 

*グループディスカッション*

本間さんのグループでは、ロールモデル、コミュニティづくりに関して、参加された皆さんと活発なディスカッションが展開されました。ロールモデルについては、参加者から「自分の部署にロールモデルとなる女性がいる方は、自分の未来が見える安心感からか落ち着いて働いている印象があるが、一方で、人それぞれ目指す働き方が違うので、この人こそロールモデル!という女性を見つけるのは、なかなか難しい。」や「タイプが違うとイメージできないし、世代によって求めるロールモデルが違う。」などの意見が出ていました。また、「そもそも、現在働き続けている40代後半〜50代の女性管理職は仕事を優先してきた方が多く、結婚、子育てを両立したいと思うワーキングウーマンのロールモデルとはならず、ロールモデル候補になりそうな素敵なワーキングウーマンが社内に見当たらないのでどうすればいいか。」等の悩みも飛び出しました。ディスカッションの中で見えてきたのは、ロールモデルは必ずしも社内にいるとは限らず、社内にいないのであれば社外に出て先に進んでいる女性を見つけることも方法の一つではないかということ。また、ロールモデルに全てを求めるのではなく、自分の中で足りない部分や成長したい部分で優れている方をロールモデルとすると、性別を超えて考えることもできそうです。

本間さんがコミュニティづくりへの取り組みを始めたきっかけは、同じ技術職でも研究所が違うとお互いに知らない方が多く、より幅広い範囲でロールモデルを見つける場を作りたいと思ったからとのこと。皆さんに興味を持っていただけそうな話題を選び、先輩社員や管理職など近くで活躍している先輩方や、時には外部で活躍している女性も招いて活発なコミュニティを広めていきたいという思いを伝えていただけました。

 

植田の入ったグループでは、世代別(30代、40代、50代)の女性意識の差にスポットを当てた議論が始まりました。仕事だけを選択した50代、どちらかといえば家庭を優先した40代、どちらも両立させたい30代…一律に決めつける訳ではありませんが、傾向としては概ね合っているのではないかと思った次第です。また、研修については、典型的な失敗例として、『女性リーダー選抜研修』についての例が挙げられました。曰く、会社主導で限られた女性だけに声を掛けたがる人事(男性)が多いそうなのですが、「競争意識や自己顕示欲を煽るようなやり方は、男性に対しては有効でも女性に対しては一利なし」と一刀両断。研修タイトルについても、(『選抜』『ジャンプアップ』といった)お尻を叩くような名称ではなく、『エンカレッジ(応援)』に変更すべきだとの事。また、指名方式ではなく、手挙げ+上司の推薦くらいのやり方が、一番バランスが取れるそうです。加えて、長い間女性に勤めて貰うためには、男性上司の協力が必要不可欠となりますが、そのためにはまず、「働き続けて欲しい…」という思いを伝えることが大事だそうです。かといって、研修の冒頭に偉い人が演説をする必要はなく、良い研修というものは自然と口コミ等で広がるとの事。

コミュニティづくりに関しては、植田自身のコミュニティ(フィフティーミューズ:50代の女神)の会について紹介したうえで、定期的に集まり、継続することの重要性について述べました。

また、日本社会においては、男性上司が人事評価を『時間(ボリューム)』基準で行う習慣が抜け切れていないという問題点を併せて指摘しました。40代前後の女性は、時間的には男性ほど会社に残って仕事をすることができない状態で、今まで仕事を続けて来ました。本来であれば、仕事の『質(部下をどれだけ育てたか、短時間でどれだけ成果を上げたか等)』で測らなければいけない所を、別の尺度・基準で見られてしまった…という思いは、どうしても潜在意識下に残ります。その結果、仕事に対しては若干、自虐的な姿勢となり、セミナー等にも「参加します!」という手を挙げ辛い空気が漂います。かといって、1日の睡眠時間が5時間で、男性に伍して働く女性管理職が、理想のロールモデル…とはとても言えません。せっかく働くのだから、50代もいきいきと働きたい。当たり前のことを、当たり前に実践できる会社を目指していくんだという方向性が示されたところで、研究会は終わりの時刻を迎えました。

 

 次回の研究会は、「2014年度に実施した各社の施策発表」と題して、1217日(水)に開催いたします。たくさんの皆さまのお越しをお待ちしております。

文責:株式会社きんざい 西塚剛 キャリアカウンセラー 山岡正子