【第54回】女性と組織の活性化研究会レポート

『一般職のキャリア成長とモチベーションアップ』

 昨今では「一般職」を廃止し総合職に統合している企業もありますが、いまでも「一般職」は多くの企業に存在しています。今回の研究会では、一般職のキャリア成長とモチベーションアップについて、参加1621名(オブザーバー含む)で、活発に議論が展開されました。

 研究会は、下記のとおり、2部構成で進行しました。

*第1部*14001530

・植田ミニ講義

・事例発表(質疑応答含む)

*第2部*15451700

・オブザーバーからのお知らせ

・グループディスカッション

 以下、今回の研究会の内容について、それぞれ一部分をご紹介します。



*主宰者によるミニ講義*

事前に集計した38社のアンケート回答では、一般職と総合職の切り分けがあると答えた企業が58%でした(過去にあった 6%、ない 36%)。その中で、一般職の女性たちのモチベーションはというと、86%が「個人差あり」と回答しており、全体的に高いとは言えないようです(高い、やや高いはいずれも0%)。そのように感じる理由として、現状維持派とモチベーション高い派の差が拡大していると回答した企業が数社ありました。

2000年より前のオールドキャリア時代、女性は結婚または出産して辞めるまでの間の数年間働き、男性のサポート的な仕事をするといった時代でした。ところが2000年以降のニューキャリア時代、結婚・出産後も働き続けることが当たり前となり、女性の活躍の場も格段に増えました。「現状維持」の意識では時代に取り残されてしまいます。時代の変化とともに、ニューキャリアにおける職種、職域の考え方、制度の変更が求められると主催者の植田は言及しています。

また、女性の意識を変えるためには本人の気づきのみならず、上司のサポートも重要であることを植田は強調していました。モチベーションが低く見えてしまう方の中には、新たに求められる役割に対して自分の能力が追いつくのかと不安に感じている人も少なくありません。そんな女性たちの背中を押せるような、部下の可能性と能力を引き出す管理職の存在は非常に重要です。

「人はいつでも変われる。会社として気づきのタイミングを増やし、(この人はだめだと)あきらめず、決めつけないで」

ミニ講義最後の植田からのメッセージは、女性活躍推進・ダイバーシティ推進担当者の方々にとって、大きな励みになることと思いました。



*プレゼンテーション*

 今回は、富国生命保険相互会社 人事部ダイバーシティ推進室 昌宅 由美子さんと女性管理職メンバー 柳川 重子さんの2名より、『一般職のキャリア成長とモチベーションアップ』と題した事例発表をしていただきました。

まず始めに、昌宅さんも柳川さんも一般職を10年以上経験されてから、登用試験を突破して総合職に転換しています。一般職のときに疑問に思っていたことや「こんなものがあったらいいな」と思っていたことが今の業務に活かせているそうです。

 さて本題です。富国生命さまの内務職員の男女比はほぼ同じで、女性の内訳としては半数近くが一般職の方になります。さらに一般職の中で「主任」にあたるのが全体の6割で、この背景には一般職の方の高年齢化があるようでした。

 一般職向けの研修としては、新入職員研修・一般職スタート研修・4年目研修・ブラッシュアップ研修・新任主任研修があります。ブラッシュアップ研修についてさらに補足すると、「植田講師の幸せなキャリア研修」「マナー研修」「コーチング主体のコミュニケーション研修」の3つから、希望するコースに手あげで参加できる仕組みになっています。発表を聞いて、研修メニューがとても充実しているように感じました。昌宅さんがダイバーシティ推進になってから、ご自身の経験も踏まえコースを増やしているからだと思います。ただ、冒頭で触れたとおり、一般職の方の高年齢化が進んでおり、すでに主任として何年も働いている方が多数いるため、今後の取組みとして40代〜50代の方への対策の必要性を感じているようです(ポイント制の導入、定期的な研修参加ルール決めなど)。

 また制度に関するご紹介では、派遣社員の方が一般職にチャレンジしたり、一般職の方が総合職に転換するときの試験内容、登用後の研修メニューについてお話がありました。その他制度として社内留学制度もあり、一般職の方が視野を広げる上で役立っているようです。さらに、今年の春には一般職制度の改正が予定されています。上級の資格や役職が新設されるそうなので、キャリアの選択肢が広がります。

 一般職の方々は入社してからずっと同じ業務を続けているケースも多く、マンネリから仕事へのモチベーションが下がってしまうとの声もよく聞きます。そんな中、企業としていかに本人たちに気づきの機会を与えるか、キャリアの選択肢を多く提示できるかがポイントになってくると思います。富国生命さまはここ数年で着実にサポート体制が充実してきています。きっと一般職の方々のイキイキ度合いもより良く変化していくのではないかと思いました。

昌宅さん、柳川さん、素晴らしい事例発表をありがとうございました。



*グループディスカッション*

 研究会の後半は、事例発表をしていただいた昌宅さんと主宰者を囲む2つのグループで、意見交換を行いました。

 ここでは、ダイバーシティ・女性活躍推進の施策について、具体的な悩みや質問が提示され、そしてそれらに対する助言が飛び交いました。たとえば、一般職の在り方、総合職への転換の在り方について、一般職の方のモチベーションの高め方、転換制度の課題などに関する悩みや質問に対して、ほかの企業さまから具体的事例に基づいた解決策やアドバイスが数多く出されました。質問者の方にとっては、多数の企業さまから事例に基づいたアドバイスを受けることができ、大変参考になったようでした。

研究会には、ダイバーシティ・女性活躍推進に複数年取り組まれている経験豊かな企業さまが多数参加されています。取組み経験が豊富な先輩方から具体的なアドバイスをもらえること、また取組みが進んでいる企業さまの取組み内容やその裏側にある苦労話など表に出てこないお話を直接聞けることは、当研究会ならではの魅力となっています。



 次回の東京研究会は、「肉食女子パワーでボトムアップの女性活躍推進!」と題して、3月13日(火)に開催されます。大変興味深いテーマとなっておりますので、初めての方もぜひお気軽にお問い合わせください。みなさまのお越しをお待ちしております。

文責:株式会社日経BPマーケティング 神田絵梨
株式会社きんざい 舟山 綾