【第56回】女性と組織の活性化研究会レポート


『ダイバーシティ風土改革の加速は現場主役の総力戦!』


 今回の研究会は、ダイバーシティを短期間で急速に推進されてきたカルビーさんが事例発表に登場されるということもあり、大変多くのみなさまにご来場いただきました。初めて参加される方も17名と多かったのですが、和やかな雰囲気のなか、ざっくばらんに、本音ベースの活発な議論が展開されました。

 研究会は、下記のとおり、2部構成で進行しました。

*第1部*14001530

・植田ミニ講義

・事例発表(質疑応答含む)

*第2部*15451700

・オブザーバーからのお知らせ

・グループディスカッション

 

以下、今回の研究会の内容について、それぞれ一部分を簡単に紹介します。

*主宰者によるミニ講義*

 今回のテーマ『ダイバーシティ風土改革の加速は現場主役の総力戦!』に基づいて、事前にアンケート調査を実施しました。集計したアンケート調査から抜粋すると、女性活躍推進・ダイバーシティ推進の形態について、人事主導であると回答した企業は全体の約半数に上りました(「人事主導:48%」)。5年前はほとんどがトップダウンだったということで、ダイバーシティ推進形態の変容が結果に表れた形となりました。

また、過去3年間における女性活躍推進・ダイバーシティ推進の全社への浸透、広がりについては、全体の半数以上が広がっていると感じているものの(「広がっている:12%」、「やや広がっている:42%」)、企業によってその浸透具合の差は大きく、特に、営業所・工場等をもつ企業さまは、女性活躍推進・ダイバーシティ推進に苦労されているようでした。

しかしながら、女性活躍推進・ダイバーシティ推進の浸透のための取組について、「行っている」と回答した企業が全体の40%、「計画中」が37%と、多くの企業がダイバーシティに関する何かしらの取組を行っていることもわかりました。

アンケート調査結果を踏まえ、講義では、女性活躍推進・ダイバーシティ推進を加速させていくうえで重要である、組織風土を改革するための有効な手段について、アンケート調査の実施やイベントやフォーラムの開催、イントラネットの活用など具体例が提示されました。また、それらを実際に行ううえで、手段が目的にならないことが重要であるなど、実践するうえでのポイントが明示されました。

*事例発表*

 今回は、カルビー株式会社人事総務本部 人材開発部 ダイバーシティ推進担当 中野衣恵さんを中心とするカルビーダイバーシティ委員会さまより、『ダイバーシティ風土改革の加速は現場主役の総力戦!』と題した事例発表をしていただきました。

 カルビーさんは、2009年に経営が刷新されたのをきっかけに、強力なトップダウンのもと、ダイバーシティを積極的に推進されてきました。その活動が本格的にスタートしたのは、活動推進の基盤となる「ダイバーシティ委員会」が設置された2010年4月です。まだ活動を始めて2年と短いにも関わらず、カルビーさまの取組は他企業さまから注目を集めるほどになっています。

 カルビーさまにおけるダイバーシティ推進の流れを簡単に紹介すると、2010年4月に当時のダイバーシティ委員長に任命された後藤さんが、社内のバランスを考慮し、組織横断的にメンバーを集め、総勢15名(女性12名、男性3名)の「ダイバーシティ委員会」がスタートしました。

 活動初年度である2010年度は、基本づくりの年として、―抄醗の理解・共感を獲得するための「イベント部会」、⊇制度を周知徹底するための「ハンドブック部会」、ゴール達成に向けた課題の明確化を目指す「アンケート部会」の3つの部会に分かれて活動を行い、ダイバーシティ推進の重要性を社内に向け発信し続けられました。後藤さんは、当初ダイバーシティの意味もほとんどわからない状況のなかでのスタートだったとのことですが、当研究会を始め、社外の会合や先進企業の話を聞きにいくなどして積極的にダイバーシティ推進の重要性や他企業の取組を学び、自社の取組に取り入れるなどして、とにかくできることをなんでもやってみたとのことでした。

その結果、初年度にも関わらず、“カルビーダイバーシティ宣言”の制定、“ダイバーシティ活動推進ロゴマーク”と“ダイバーシティ月間”の設定、“ダイバーシティフォーラム”の開催等を通じて、グループ会社も含めた従業員全員に向けて、会社のダイバーシティ推進への取組の本気度を伝えることに成功されました。その本気度は、お話を聞いているだけでも十分に伝わってくるものでした。

 翌年の2011年度は、今回のメイン発表者である中野さんが専任担当として新たに加わり、2010年度の約半分の継続メンバーに、2年目から採用された手上げ(公募)方式により集まったメンバー等を加えた計28名で活動を展開されました(各工場から1名はMUSTで選出)。2011年度の基本方針としては、新たに「キャリア支援部会」、「コミュニケーション部会」、「工場部会」の3つが設けられました。基本方針を年度によって変えることは、2010年度の活動から見えた課題をもとに、新たな計画を立て、それを実行していくために必要な措置だからとのことです。例えば、新しい方針の一つである「ゴール達成に向けた課題の明確化」から見出した問題の一つに、工場におけるダイバーシティ宣言の認知度の低さが挙げられていました。この問題を解決すべく、「工場部会」を設置し、工場の従業員における、ダイバーシティの理解・共感の獲得を図られました。ダイバーシティ推進では、推進の進捗具合や会社の状況に合わせ、臨機応変にテーマを変えていくことが重要だといわれます。カルビーさまの取組はまさにそれを実践されていると思いました。

 事例発表には、茨城と栃木の3つの工場からもそれぞれ1名の委員と工場長1名が参加され、2011年度の自工場における取組を中心にお話をしていただきました。「工場部会」では、各工場の委員が中心となり、ダイバーシティ推進のためのミニイベントや情報発信を行っています。その内容は、各工場それぞれの特徴を活かしたネーミング、そして内容となっています。一例を紹介すると、新宇都宮工場(栃木)では、これからの働き方や子育て・介護をしながらイキイキと働くための自分たちの活躍の場を会社ではなく従業員である自らが考え、自ら創造するきっかけ作りをテーマに、委員が中心となり「ティータイムダイバーシティ ミーティング」を開催されました。そして、「こんな仕事をしてみたい」という意見を出し合った結果、時短勤務者の活躍の場所として、新たに定時での仕事を考え、今までなかったアソート商品を作る部署の開設につなげられました。研究会においても、アンケート結果にあったとおり、本社以外に営業所・工場等をもつ企業さまは、本社(本部)以外においてのダイバーシティ推進に頭を悩ませています。カルビーさまのこうした工場でのダイバーシティ浸透への取組は、大変参考となる事例だと思いました。

 中野さんをはじめとするカルビーのみなさまは、今後も、“何事も楽しく情熱をもって、現場が主役”の取組を進めていかれるとのことです。3年目に突入されたばかりですが、研究会としても、カルビーさまの取組に今後も注目していきたいと思います。

 大変楽しく!情報満載の素晴らしい発表をありがとうございました。

*グループディスカッション*

 事例発表の流れを受けて、グループディスカッションも大変盛り上がりました。通常は2つのグループに分かれるところ、今回はカルビーさまから5名参加していただいたので、4つのグループで30分、2セッションのグループディスカッションを行いました。

 グループディスカッションでは、事例発表の内容を掘り起こす形で、たくさんの質問が飛び交い、他社の事例も混ざりながらたくさんの貴重なお話を聞くことができました。そのなかで、こぼれ話だったのですが大変印象に残ったのが、「工場部会」の委員になったかたたちの輝きです。ダイバーシティに関わった委員たちは、最初はあまり興味がなかった委員も、活動をしていく過程でプレゼン力が上がったり、積極性が増したりと、結果的に会社において活躍するように育っていくということです。ダイバーシティには、人の仕事に対する姿勢を変える力があり、それが結果的に企業の活性化につながっていくのだと思いました。

研究会は、ダイバーシティを積極的に推進していこうとする担当者さまたちの大きなエネルギーに満ちています。参加するだけで、パワーをもらうことができます。ぜひお気軽に一度足を運んでみてください。みなさまのお越しをメンバー一同でお待ちしております。

(文責 株式会社きんざい 舟山 綾)