2012年5月22日(月)開催 】第57回女性と組織の活性化研究会レポート

「地銀における女性リーダー育成の3年間」


女性の活躍が決して特別な時代ではなくなりました。

しかし、実際に企業の中で女性の管理職は増えているのでしょうか?

今回は、女性リーダー育成の企業の取り組み、女性のリーダーになることへの意識などを取り上げていきたいと思います。 

 

研究会は、下記の通り、2部構成で進行しました。

1部*14:00〜15:30

植田ミニ講義

事例発表(質疑応答含む)

2部*15:45〜17:00

グループディスカッション

 

*主催者によるミニ講義*

 今回は、31社の企業から回答をいただきました。

回答いただいた企業の中で女性管理職の比率は、4%未満という企業が58%、5〜9%が16%と1割に満たない企業が74%です。私が想像していたよりもはるかに女性の管理職が少ない状況に驚いてしまいました。とはいえ、10〜19%という1割を超える企業が出てきたという前向きなとらえ方もできます。

では、女性管理職数に変化はあるのかというと、全体の78%の企業が増えていると感じているようです。その中でもワーキングマザーの女性管理職はやや増えているという控えめな回答が42%となっており、増えていると言い切れるほどではないのが実態のようです。

65%の企業が管理職育成・増加に何かしらの目標を持っており、育成応援に関しても具体的な施策を行っている企業が39%、計画中の企業が22%と前向きに取り組まれていることがわかりました。しかし、そういった女性管理職の育成応援に関して、悩みや課題を感じている企業も決して少なくありません(ある65%、少しある19%)。企業側の思いと女性社員の思いにはギャップが少なからずあるようです。

植田は、「女性管理職が育っている会社は人が育ち、女性活躍推進を進めることで会社を強くする!」と力強く語っていました。そのためにも、企業側として環境を整え、上司や職場の仲間が理解し応援して、女性たちが素敵な自分の未来のために「管理職にチャレンジしてみたい!」と思えることが必要なのでしょう。

今後、女性管理職がもっともっと増えていき、しなやかで強い企業が増えていってほしいものです。

 

 

*プレゼンテーション*

今回は、滋賀銀行 人事部 人事グループ 堀口真由美さんより『地銀における女性リーダー育成の3年間』をテーマに、堀口さんご自身の事例を発表していただきました。

笑顔が素敵な堀口さんは、穏やかな表情と優しい話し方からは想像もつきませんが、3人の男の子をもつワーキングマザーです。高校卒業後に滋賀銀行に入行し、今に至っています。その間、3回の出産を経験し、育児休業を取得されています。育児休業から職場に復帰してからは、無認可保育園にお子様を預けて朝早くから夜遅くまで業務にあたっていたとのことです。お子様が小さかったころの堀口さんの日々の仕事と育児と家事に追われる大変さは本当に壮絶なものがあったと思います。

滋賀銀行では、平成18年12月に女性活躍推進委員会を設置し、風土づくり(意識改革)・制度の充実(ワーク・ライフ・バランス)・キャリア形成支援(女性の登用・職務開発)を3つの柱とし、女性リーダー育成を進めています。

まず、風土づくり(意識改革)の中で特に印象に残ったのは、女性活躍推進委員会の活動周知と意見吸収のため21ケ店訪問し、店舗の女性行員の方々との懇談会の前に支店長と話をする機会を設け、トップから風土づくりに協力していただけるよう働きかけていたとのことです。

そして、制度の充実(ワーク・ライフ・バランス)では、制度の整備だけでなく、育児休業取得者の復帰のためのバックアップを充実させていることにより、年々育休取得者が増えています。

キャリア形成支援(女性の登用・職務開発)においては、支店長と今後の希望などを伝えることができる話し合い制度などの職場での支援はもちろん、植田が講師を務めた女性リーダー・エンカレッジ講座を開催し、いつも走り続けていた自分を各々が見つめなおす場となったようです。

最後に、堀口さんが、「制度を取得する人は、働いていくという意欲と覚悟を持ち、常に周囲への感謝の気持ちを忘れないことが必要。そして、周りの人はいつか自分にも起こるかもしれないというお互いさまという気持ちが大切。お互いを理解し、働きがいのある職場を目指したい。」とお話しされているのを伺って、改めて制度や周囲に甘んじるのではなく、感謝の気持ちを忘れない人間性がキャリアを育んでいくうえでも大切だということを感じました。

堀口様、本日は貴重な事例を発表いただき、本当にありがとうございました。

 

*グループディスカッション*

 研究会の後半は、事例発表をしていただいた堀口さんと主宰者の植田を囲む2つのグループで、今回のテーマである女性リーダーの育成にかかる諸問題をさらに掘り下げるべく、グループディスカッションを行いました。

グループディスカッションでは、一方的に話を聞くのではなく、参加者のみなさまそれぞれが、自らの担当者としての経験や実生活での体験などを交えながら本音ベースで意見を出し合います。そうすることで、グループディスカッションは、次々と出される課題の解決のヒント等を見つける場となっています。たとえば、ある参加者さまから、制度の充実が、それに甘んじ、ワークライフバランスのライフに比重が偏りすぎてしまう人を生む要因になってしまうのではないかという懸念が相談として出されました。これに対して、他の参加者さまたちから、実際問題として、制度が充実してくると権利のみを主張する事例等課題も出てくるとしたうえで、こうした課題を解決・予防するための、実際の取組事例を交えた具体的なアドバイスが出されました。また、今回、“管理職になりたくない女性たち”への対応について、議論が白熱しました。研究会に参加されている方のなかにも、実際、管理職になることに積極的な人もいれば消極的な人もいます。自らに直接関係してくる課題だからこそ、解決策について、真剣に話合いがなされました。

研究会には、ダイバーシティ・女性活躍推進に複数年取り組まれている経験豊かな企業さまが多数参加されています。取組み経験が豊富な先輩方から具体的なアドバイスをもらえること、また、取組みが進んでいる企業さまの事例やその裏側にある苦労話など表に出てこない話を直接聞けることは、当研究会ならではの魅力となっています。

 

次回の東京研究会は、事例発表者に雪印メグミルク株式会社人事部 人材開発センターの畑本二美さんを迎え、「現場の女性たちの本音(期待・悩み・不安)を知る」と題し、6月18日(月)に開催します。たくさんのみなさまのお越しをお待ちしております。

 

(文責:キャリアコンサルタント 川村貴子,株式会社きんざい 舟山綾)