20121010日(水)

61回女性と組織の活性化研究会レポート



61回目となる「女性と組織の活性化研究会」は、「異業種交流研修で体感するダイバーシティ」をテーマに実施いたしました。概要は次のとおりです。


【第一部】 14:0015:30


  ・植田ミニ講義

  ・事例発表(質疑応答含む)

【第二部】 15:4517:00

  ・グループディスカッション



当日は1418名の方にご参加いただき、植田の講義、アステラス総合教育研究所、朝妻さんの事例発表、そして第2部のグループディスカッションと、真剣かつ本音での対話が繰り広げられました。



★植田によるミニ講義★



まずはじめに、主催者の植田より、事前アンケートの分析結果を解説させていただきました。今回の回答数は35社。自社のリーダー育成の状況について尋ねると、77%の企業から「積極的(積極的:40%、やや積極的:37%)」との回答がありました。また「リーダー育成、応援の研修をやっていますか?」との問いには「やっている」が68%、「計画中」が11%の結果となりました。コメントを見ると「人事戦略の中で管理職層・リーダー層の活性化を重点取り組み項目としている」「全部署のマネージャーに“部下と本音のコミュニケーション”をテーマにした研修を実施している」などの前向きな回答もありましたが、その反面、「研修は実施しているが、体系的な取り組みになっていない」「“新任管理職研修”はあるが、それ以降に研修受講の機会がない」など、何らかの課題を抱えている企業も多いことが見て取れました。



 また、リーダー育成のために「異業種交流の必要性は?」とお聞きした問いに対しては、実に97%の企業が「ある」(ある:86%、少しある:11%)と回答されていました。理由として「多様性や意見の相違を実感し、自分を振り返る機会となるため」「視野の拡がり、井の中の蛙状態から抜けるため」「お互いが刺激になり、学び合えるため」など、社内の研修では得られないであろう効果を期待している声が多く聞かれました。しかし、実際に「異業種交流の施策を何かやっていますか?」の問いには、「やっている」が31%、「計画中」が6%にとどまり、必要性は感じていても、施策の実施には結びついていない現状が浮かび上がりました。



 こうした分析結果を踏まえて、植田から、主に「ニューキャリア時代に求められる研修とは」について解説させていただきました。ダイバーシティがますます広がるこれからの時代には、同じような立場・役割の人たちが集まる従来のような階層別研修や、スキル・知識の習得を目指した左脳重視の研修ではなく、様々な立場・役割の人たちが集まり、その場で多様性を実感できるような場を用意し、また気づきや感動を司る「右脳」の活性化につながる研修を実施することが必要です。そのような研修こそが、受講者の意識変革を促し、意識変革が行動変革につながります。また、会社の枠を越えて多様性を体感し、様々な人たちと気づきや感動を共有できる機会として、異業種交流型の研修はこれからますます重要になってくるでしょう。




★ゲストによる事例発表★




次に、今回のゲストスピーカーである、アステラス総合教育研究所株式会社 企画部 課長の朝妻綾子さんより、「アステラス製薬における異業種交流研修の取り組み」について、事例発表を行っていただきました。


 グループ全体の従業員数は、現在約17,000人。総合教育研究所は、アステラスグループの人材育成支援を行っておられるそうです。そんなアステラスさんは、従業員のダイバーシティに対する意識改革に向けた取り組みとして、2007年に「WINDプロジェクト」をスタート。ここでいうWINDとは「Woman’s Innovative Network for Diversity」のこと。アステラスさんの経営ビジョン実現のため、また持続的な成長の基盤とするため、経営層のコミットメントのもとで立ち上げられたそうです。


 

このプロジェクトでは、職場の風土改革・社員の意識改革を目的にした情報発信、フォーラムや研修等の実施をはじめ、女性が活き活きと働き続けられるような制度・仕組みの見直しなど、様々な施策を企画・展開されたとのこと。その結果、2011年の意識調査では「社内でダイバーシティの認知や女性の意識は変わってきた」との成果が確認できたそうです。しかし一方で「自身のキャリアについて相談できる相手(メンター)がいない」といった声が聞かれるなど、新たな課題も浮上。2015年に達成を目指す経営ビジョンの実現のためにも、更なる取り組みの推進が求められているようです。 


 異業種交流型の研修は、3つのネットワークをつくって実施されているとのこと。それぞれに加わっている企業が違い、本当にさまざまな業種・業界・規模の企業と一緒に研修を展開されているそうです。また内容も、外部から講師を招いているものもあれば、参加企業の内部の方が講師を務めたり、自分たちでプロジェクトを組んで企業研究を実施したりと、実に多種多様。その中で、ある5社のネットワークでは、植田が「モチベーション・リーダーシップ」「女性エンカレッジ」の2コースを担当しています。




朝妻さんの発表後の質疑応答では、主に「ネットワークのつくり方」や「継続のポイント」について質問が出ました。聞いていると「まず、異業種交流のネットワークをつくることが難しい」「つくったとしても、継続させることがなかなかできない」といった悩みを抱えておらえる企業が多いようです。まずは仕組みをつくること、そして担当者が、片手間ではなく本気になって取り組むことがポイントと言えるかもしれません。




 各社のダイバーシティ推進をさらに加速させる手段として、異業種交流型の研修はますます重要になりつつあります。その仕組みづくりや仕掛け方について、本日は朝妻さんより貴重な事例を共有していただきました。朝妻さん、本当にありがとうございました!



★グループディスカッション★



 グループディスカッションでは、事例発表をしていただいた朝妻さんと主宰者の植田を囲む2つのグループで、1時間にわたり、活気ある意見交換が行われました。また、すべての参加者が、受け身ではなく、それぞれの企業におけるダイバーシティの課題や問題点等について、事例を交えながら積極的に発表されていました。


 植田を囲むグループでは、異業種交流を導入するメリットや導入する際の留意点について質問がなされ、これに植田が答えるかたちで、議論が進んでいきました。たとえば、ご質問者の、「異業種交流自体には興味はあるのだけど、具体的な効果や成果がみえにくいため、導入に踏み切れない」といった声に対しては、植田より、事例を交えながら、異業種交流を導入するメリットについての説明がなされました。また、異業種交流は、女性に向いており、女性活躍推進に大変効果があることや、男性向けに行う場合には、同じ階層・年齢で行わず、幅広い階層や年齢層を対象に行うことが大事であるとのアドバイスも、事例を交えながら紹介されました。このような、具体的なアドバイスをもらえることは、当研究会に参加されるひとつのメリットだと思います。

 
 グループディスカッションに参加して思ったことは、グループディスカッションでは、現在抱えている問題点等について、企業の枠を超えて、ざっくばらんに話し合い、参加者みんなで“助け合う”という雰囲気ができあがっているということです。そして、この雰囲気が、問題を解決していくアイディアを生むうえで、大きな役割を果たしているのだなと思いました。


 次回の研究会は、
「ダイバーシティにおける経営陣の体現&本音メッセージの重要性」と題し、11 5()に開催します。事例発表には、カシオ計算機株式会社 執行役員 VP事業部 事業部長の持永信之氏をお迎えします。大変興味深い内容となっておりますので、たくさんのみなさまのご参加をお待ちしております。



(文責 一般社団法人日本経営協会 寺田 和紀、株式会社きんざい 舟山 綾)