『女性活躍推進をグループ会社に広げるためのポイントと葛藤』
 女性活躍推進、ダイバーシティ推進に会社として取り組んでいる企業は年々増えています。とはいえ、社内展開する上で壁や障害を感じない企業・担当者はごく少数で、皆さま有識者や他社の方と情報交換をしながら、一歩ずつ取り組みを進めています。

今回の研究会は「女性活躍推進をグループ会社に広げるためのポイントと葛藤」をテーマに実施しました。

概要は次のとおりです。



*第1部* 14001530

・植田ミニ講義

・事例発表(質疑応答含む)

*第2部* 15451700

・オブザーバーからのお知らせ

・グループディスカッション



当日は1524名(オブザーバー含む)の方にご参加いただき、植田の講義、ホシザキ電機株式会社 坪井さんの事例発表、そして第2部のグループディスカッションと、

本音ベースの対話が繰り広げられました。

 以下、今回の研究会の内容について、それぞれ一部分をご紹介します。



*主宰者によるミニ講義*

事前に集計した28社のアンケート回答では、ここ3年間で女性活躍推進、ダイバーシティ推進の社内・グループ会社での広がりを感じていると回答した企業は77%でした(広がっている 11%、少し広がっている 66%)。一方で、社内・グループ会社での温度差や男女の温度差、世代別の温度差について、ある/少しあると回答した企業がいずれも80%前後の高い数値となり、女性活躍推進における課題、担当者の苦労が浮き彫りとなりました。特に40代・50代の方の意識が変わらないことに頭を抱えている企業が少なくありませんが、若い世代では女性活躍推進が当たり前のこととして捉えられているとのコメントがあり、担当者にとって救いとなるのではと思いました。

 植田からは、女性活躍推進、ダイバーシティ推進を会社に広げるためのポイントとして、「上手くいっている部署・組織は何が違うのか?」とポジティブな部分に目を向けるようアドバイスがありました。また重要な点として、本質・原点を社員が共有することをあげていました。活動を推進していく中で壁や障害にぶつかったとき、目の前の問題に振り回され本質を見失ってしまうことがあると思います。女性活躍推進とは?社員が幸せになる会社とは?そして自分自身がどう変わらなくてはいけないか、どう動き出すか?と原点に立ち戻りながら、少しずつ広げていくことが重要だと改めて感じました。


*ゲストによる事例発表*

 今回は、ホシザキ電機株式会社 人材教育部課長 坪井さんより、『女性活躍推進をグループ会社に広げるためのポイントと葛藤』をテーマに事例発表をしていただきました。

 まずホシザキ電機さまの基本情報ですが、本体と国内のグループ会社15社を合わせた従業員数は約6,700名、そのうち女性は900名という企業です。女性活躍推進の取り組みは、2010年にプロジェクトを発足させたことから始まっています。プロジェクトメンバーはグループ会社から募り、初年度はまず現状把握からスタート。女性の採用数は年々増えているものの、「今の業務をこなしていればそれでいい」「自分が管理職になるなんて無理」という女性が多く、意識改革への取り組みが課題としてあがってきたようです。

 2011年よりプロジェクト活動への取り組みを開始。女性が活躍できる風土の会社を目指すため、大きく2つの柱で進めたそうです。1つは職域の拡大で、もっと営業の前線で稼げる人材を増やすこと。もう1つは意識の改革で、自ら変わるよう意識づける

こと。プロジェクトでの具体的な活動としては、かがやき新聞や社内報での情報発信、営業の女性部下を持つ男性上司向けマニュアル作成について紹介がありました。

2012年は前年の改善をしつつ、制度や仕組みの構築から人材育成へと主軸が変わっていったそうです。係長向けにはキャリアチャレンジ研修、リーダーにはキャリアアップ研修に取り組み、女性たちを巻き込んでいったとのこと。その結果、ホシザキグループ(販売会社)では、2009年末から2012年末で女性役職者が34倍に増えたそうです。着実に女性活躍が進んでいることがうかがえました。

2013年〜14年については、全体活動を継続しつつ、グループ15社が各社での取り組みも行っていくとのことでした。

最後に坪井さんより「プロジェクト活動のポイント」を5つ伝授いただきました。
  プロジェクト目標をチームメンバーと共有する
  各チームカラー(各社カラー)を尊重する
  プロジェクトと会社の方向性を合わせる
  トップ層やキーマンを巻き込む仕組みを作る
  のつながり、斜めのつながりを絶やさない
 
 当日の発表では、プロジェクトメンバーが初めて顔を合わせたときの驚きエピソードや、ここまで活動を進めてくるまでのたくさんの葛藤、坪井さん以外のメンバーの苦労話など、本音でたっぷりお話いただき、女性だけの会場は笑いと共感に包まれていました。
 坪井さん、素晴らしい事例発表をありがとうございました。


*グループディスカッション*

事例発表をしていただいた坪井さん&推進グループメンバーと、主催者の植田&推進グループメンバーとを囲む2つのグループで、グループディスカッションを行いました。その一部をご紹介します。



女性活躍推進でひとつの壁になっているのが、女性自身の意識改革という点があげられました。“通常の業務で忙しいのに、余計な任務を請け負いたくない”、“リーダーやマネージャーに興味がない、今のままで満足”というような消極的な女性にどうしたら興味をもってもらえるか。社内報、女子会、ロールモデル育成と、各社地道な努力の積み重ねで意識改革を推進している姿が見受けられました。一方で、男性と同様に活躍したいという意欲を持っている女性もたくさんいらっしゃいましたが、男性と女性が同じ土俵にいても、重要な仕事は男性に優先されてまかされる、資格取得の推奨は男性社員が優先される、という現状があり、女性自身が私もその仕事をしたい、その資格をとりたい、と発言しなければ、上司の方に気づいてもらえないという現状があるようでした。“うちの上司は、わかってくれない”、“女性が活躍することを望んでいない”と愚痴るより、まずは、自分の意思をきちんと伝えることが重要であると再認識いたしました。

女性活躍推進を全社的な取り組みとして進める場合の、トップの発言力についても議論が取り交わされました。男性の管理職の意識改革には、トップの発言が強力な推進力となっている企業もあれば、わざわざトップに語らせる=推進委員ができていない、というマイナスのイメージになってしまうので、トップからの発言は控えているという企業もいらっしゃいました。

女性活躍推進を全社に広げていくには、女性自身の意識改革、上司の方の意識改革、組織全体の意識改革と、全てが重要であり、ひとつひとつの積み重ねが企業風土として定着していくことになるのだと共有いたしました。



次回の研究会は、「ダイバーシティな組織風土改革をリードするために必要な知識、資格とその活かし方」と題して315日(金)に開催いたします。会場では発表者が「ここだけの本音」をもらすことも数多くあります。レポートには載らない情報も得られると思いますので、ぜひ奮ってご参加ください。たくさんの皆さまのお越しをお待ちしております。





文責:株式会社日経BPマーケティング 神田絵梨 キャリアカウンセラー 山岡正子