【第67回】女性と組織の活性化研究会レポート

広がるダイバーシティと自律的に考える機会の創出


67回目となる、「女性と組織の活性化研究会」では、「広がるダイバーシティと自律的に考える機会の創出」をテーマに実施致しました。


【第一部】14:0015:30

・植田によるミニ講義

・事例発表(質疑応答含む)



【第二部】15:4517:00

・グループディスカッション



当日は、1319名の方にご参加いただき、植田のミニ講義、株式会社日立ソリューションズ、荒木知美さんを中心とした事例発表、そして第2部のグループディスカッションでの意見交換へと進んでいきました。



*主催者によるミニ講義*



広がるダイバーシティと自律的に考える機会の創出」について、事前に集計したアンケートをもとに、社内での定着率、世代間での温度差などを中心に、主宰者の植田より話がありました。

集計の結果、ダイバーシティが組織風土として定着しつつある企業が35%、ここ3年間で変化があった企業は約60%という結果となりました。働き続ける女性が増え、高齢化社会での介護問題が顕著になり、外国人の採用が進む背景では、ダイバーシティの取り組みは避けて通れない課題となっていることがわかりました。また、男性、女性、世代別の質問については、育児も含め、男女が同じ条件で働くことを当たり前と考えている20代、30代と、男性は外で働き、女性は家を守ると考えてきた40代、50代での差が大きく現れました。

植田からは、日本におけるダイバーシティは、アメリカと違い(宗教、人種問題)、男女の性差を乗り越えることが一番大きなハードルであり、結婚、出産、育児で立ち止まざるを得ない女性の働き方と同時に、誰もが親の介護を目の当たりにする時期がやってくるという指摘がなされました。また、65歳までの雇用が義務化となりシニア問題はますます深刻化し大きなテーマになっていく中で、企業と共に成長しながらも企業にしがみつきぶら下がるのではなく、個人が自立して自分の人生に責任を持つと共に、他者の人生を応援し、助け合う関係が必要ではないかという問題提起がなされました。



*プレゼンテーション*



今回は、株式会社日立ソリューションズ 人事総務統括本部 ダイバーシティ推進センタ小嶋美代子さん、荒木知美さんにより「広がるダイバーシティと自律的に考える機会の創出」の発表を行っていただきました。最初に小嶋さんより会社概要の説明をいただきました。ダイバーシティは経営戦略という位置づけにあり“未知の扉をひらく。ゆるぎないチカラとともに”の経営ビジョンのもと、社員自らが作成した行動指針には、“多様性を重んじ”、“自律的に行動をおこす”というキーワードが掲げられ、企業全体で積極的にダイバーシティに取り組んでいる姿をご紹介いただきました。女性活躍推進、育児との両立を目指して設立されたダイバーシティ推進ですが、現在では結婚・出産・育児を理由とした退職者は激減し、これからはワークライフバランスの両立や障碍者活躍支援、介護両立支援などが新たなテーマとなってきているとのことでした。

荒木さんからは、具体的な取り組みについて実例を交えてお話しいただきました。経営理念の基、多様性を自分のこととして捉え、自ら考え行動を起こす社風作りのために、ホームページを活用した活動の「見える化」、トップメッセージの掲載、活動が後戻りしないよう査定の評価項目に組み入れるなど、様々な取り組みを通じて認知度、理解度が高まり、社員が自分のこととして考える機会が増えたとのことでした。「ポジティブ・オフ休暇」の新設においては、実際に取得したマネージャー層の事例を紹介し、休暇を取得しやすい職場環境を整備、また、「仕事と介護の両立支援セミナ」には、100名以上の参加があり、男女比6430代、40代の方があわせて80%を占め、現在直面している方と共に将来に的に直面する可能性が高い介護について、関心の深さが伺えました。管理職の意識も確実に変化し、知識・情報の習得は安定し、ダイバーシティ実践への期待が高まってきているそうです。

 小嶋さん、荒木さんのお話しの中から、ダイバーシティに対する活発な活動や情熱が感じられ、とても素晴らしい事例発表となりました。



*グループディスカッション*



主宰者の植田と日立ソリューションズ小嶋さん、事例発表をしていただいた荒木さんを囲む2つのグループで、グループディスカッションを行いました。その一部をご紹介します。

 前半では、日立ソリューションズさまの取り組みの1つ、社内SNSの利用状況について質問がありました。ネガティブ発言や炎上などのリスク対策に関する問いに、ソーシャルガイドラインを設けていること、実名登録・写真公開で利用していることが回答としてあげられました。従業員1万人の大企業ですので、問題がゼロというわけではないようですが、一方で、有志でポジティブな内容を毎日発信している方々もいらっしゃるそうです。ダイバーシティ推進センタの方がお願いしなくても、自発的に前向きな行動を取る方が複数いらっしゃる点は、まさに「自律的に考える機会の創出」の成果ではないかと思いました。また、担当の方々が発信の内容に神経質になるのではなく、発信自体を重視して「自ら行動を起こせる場を提供する」という姿勢を貫いている点が素敵だと思いました。

 その他、ダイバーシティ推進活動の中で、トップからのメッセージ発信や社外講師の講演以外に行ってきた「草の根活動」についての話題も印象的でした。小嶋さんや荒木さんが他部門の方に協力を依頼する場面では、「会社の上層部が言っているので」という強制的なニュアンスを封印し、「一緒にやりませんか」と声をかけ、少しずつ協力者を増やしていかれたそうです。時間はかかっても、着実に風土が変わっていくのではないかと思いました。

 後半では、ポジティブオフ休暇の話題で盛り上がりました。働き方の見直しの一環で取得を推奨しているこちらの休暇。社員の方々が取得しやすいよう、ダイバーシティ推進メンバーが本休暇取得者にインタビューをして、事例を紹介しているそうです。例として、男性本部長の「ボランティア活動休暇」、男性管理職の「ゴルフ休暇」、女性社員の「南の島デトックス休暇」があげられました。「あの人があのような目的で休みを取っているなら自分も」と思ってもらえるよう工夫していることがよく伝わってきました。現在では、ポジティブオフ100選を公募しているそうです。またの機会に100選のうちのいくつかをご紹介いただけたらと思いました。



 次回の研究会は、「女性達がボトムアップで楽しくリードするから広がる女性活躍推進」と題して515日(水)に開催いたします。たくさんの皆さまのお越しをお待ちしております。



文責:株式会社日経BPマーケティング 神田絵梨 キャリアカウンセラー 山岡正子