「女性執行委員が奮闘する労働組合女性活躍推進の課題と未来」



69回目となる、「女性と組織の活性化研究会」では、「女性執行委員が奮闘する労働組合女性活躍推進の課題と未来」をテーマに実施致しました。当日は1016名の方に参加いただき、UAゼンセン宮島さんに労働組合の現場からの事例を発表していただきました。



【第一部】14:0015:30

・植田によるミニ講義

・事例発表(質疑応答含む)



【第二部】15:4517:00

     グループディスカッション



*主催者によるミニ講義*

今回は事前アンケートに30社から回答をいただきました。

約7割の労働組合において3役(委員長、副委員長、書記長)、執行委員に女性が増えてきており、女性活躍推進、ダイバーシティ推進の取り組みが進む中で女性の活躍が自然の流れとなっておりました。組合における女性活躍推進の取り組みについては、なかなか古い体質から抜け出せない組合もあれば、女性に特化した取り組みはすでに終了しており、男女問わず個人のキャリア支援の取り組みや、女性支部を作り、情報誌作成やイベント実施などの活動が開始されている組合もございました。古い体質の組合と、かなり進んでいる組合では、いくらかの差があるようです。

労働組合の取り組みは時代と共に変化しており、以前は働く人の権利を主体とした、闘争の歴史でしたが、世代間の意識の変化と共に労働組合に期待する内容も変わってきました。植田自身も2001年頃から繊維業界の労働組合を中心に多様な働き方の中で、女性を元気にする研修を開始し、労働組合と企業が一体化した研修や労働組合主催の女性セミナーで講演してきました。工場の女性を対象にした、女性が活き活き働くセミナーでは、年配の女性達も喜んで参加いただいたようで、会社主体のセミナーとは違った親近感を感じていただけたようです。労働組合が主催のセミナーでは、企業主体ではなく働く人達の視線で企画されるので、「あなたたちが輝くことが素敵なのよ」というメッセージが伝えやすく、参加者の表情もとてもとても素敵だったとのことでした。労働組合もオールドキャリア時代の労使交渉から、ニューキャリア時代に突入し、いかにES(従業員満足度)を高めるか、条件だけを整えるだけでなく、「皆が活き活き働く」ということを大きなテーマとしています。労働組合でのイベント企画やプロジェクト推進は女性がリーダーシップを体現するためにもとてもよい経験となり、全ての人達が活き活きと働き、ずっとこの会社で働き続けたい、会社からも働き続けてほしいと思われる関係、エンゲージメントの追求へとつながっていくことでしょう。



*プレゼンテーション*

今回は、UAゼンセン 流通部門 執行委員 パート総合対策部長 宮島さんより発表いただきました。UAゼンセンは、2012年に「原点を見つめ、未来を拓こう!UAゼンセン」をスローガンに、UIゼンセン同盟とサービス・流通連合が統合して誕生した国内で最大の産業別組織です。宮島さんが担当する流通部門では、女性と短時間組合員が多く、女性が57.8%、雇用形態は正社員以外と正社員で半々となります。主な活動は、1.職場における男女平等の推進、2.-クライフバランスの実現、3.労働組合活動における男女共同参画推進となり、これまで男性中心で体育会系だった労働組合の活動に、女性の視点を盛り込んでいくことから、制度の構築や環境整備を進めていらっしゃいます。流通部門は日本最大級の集団となり、消費税問題や医薬品のネット問題など流通業界で起きている問題を国に訴えていく役割も担っていらっしゃいます。宮島さんは労働組合が結成50年を迎えた頃に女性初の専従執行委員となり、労働組合の持つ体育会系の風土に驚いたそうです。流通部門では女性社員やパートタイマーの方々が多いことから、働き方の違うパートタイマーの労働組合役員を増やし、結婚、出産の時期を迎えても退職せずに働き続ける、ワークライフバランスのとれた働き方を推進しており、“あまりの忙しさにひげが生えるのではないかと思ってしまう”というエピソードには、会場から暖かない笑いが聞こえました。

ある百貨店の例では、時短勤務者が140名となったことから、子育てをしていない正社員が閉店までの遅番を担当するというしわよせがきてしまっており、女性が長く働けるロールモデルを作りながら業績を上げていくためにはどうしたらよいかという課題があげられました。また、女性の管理職の雇用を推進しているが、24時間営業、深夜営業の店舗での店長は敬遠されてしまい、男性、女性、全ての人が働きやすい風土をめざし、自分自身がロールモデルになり、後輩の育成に貢献していきたいという熱い思いを伝えていただけました。



*グループディスカッション*

主宰者の植田とUAゼンセン橋本さん、事例発表をしていただいた宮島さんを囲む2つのグループで、グループディスカッションを行いました。その一部をご紹介します。

 植田の入ったグループでは、お1人ずつ自社の女性活躍推進への取り組み状況や、今回の事例発表を聞いての感想などを発表していきました。その中で、ある企業の労働組合の男性から出た意見「自らロールモデルになりたいという女性は、なぜそんなにモチベーションが高いのか?」について議論が展開しました。発信者の男性は、自社の女性に「ロールモデルになってほしい」と話したところ、「自分には無理です」と引かれてしまったそうです。UAゼンセン橋本さんから見た、発表で紹介の女性たちは、みな肩肘張っておらず自然体とのこと。良い上司に恵まれていたのではとの意見もありました。植田からは「男性のイメージするロールモデルは、男性並みに働く女性や仕事も家庭も完璧のスーパーウーマンであることが多く、頑張って “会社の星”を目指せと言われているようで女性は引いてしまう。そうではなく、今のままもっと輝くとさらに素敵で、後進の憧れの存在になるよと伝えることが大切」とのコメントがありました。言葉によって相手に伝わるメッセージが大きく変わることがわかり、ドキッとするテーマでした。

 後半では、女性活躍推進が進んでいるという高島屋さまの具体的な事例について、橋本さんよりお話しいただきました。まず、取締役・執行役員に女性が1名ずついる、国内店舗のトップのうち3名は女性である、業績の良いシンガポール店の店長が女性であるなど、女性のポジションについてご紹介がありました。また、メンター制度を導入し、女性のロールモデルと出会いやすい環境をつくっていること、男女ともに働きやすい職場にするため、部下の有給取得を上司がマネジメントすることが義務付けられていること、男性が2週間の育児休暇(有給)を取得するのが当たり前になっていることなど、先進的な様子を伺い、学びたいところがたくさんあると思いました。

 

 次回の研究会は、「時短管理職誕生、時短勤務者の評価と意識の差に迫る」と題して716日(火)に開催いたします。たくさんの皆さまのお越しをお待ちしております。



                 文責:株式会社日経BPマーケティング 神田絵梨、キャリアカウンセラー 山岡正子