71回 女性と組織の活性化研究会レポート

「女性取締役誕生の意義と社内への影響」

 

今回は、午前中に久しぶりに地震があり、なおかつ天候が不安定な中、13名の参加者が集まってくださいました。男性は初参加が2名もいらっしゃって、今回のテーマが「女性取締役誕生の意義と社内への影響」なだけに、男性の関心も高いのでしょう。今年の3月についに取締役に就任された株式会社 QUICK 取締役 カスタマーサポート本部長 伊藤朋子さん。伊藤さんには『女性管理職が変える会社の未来』をテーマに201111月に発表いただき、取締役として今回再登場となりました。経営陣の一員となったことで社内にどんな影響があったのか?続きは、下記のレポートで!!

研究会は、下記の通り、2部構成で進行しました。

★第1部★14001530

     植田ミニ講義

     事例発表(質疑応答含む)

★第2部★15451700

     グループディスカッション


以下、今回の研究会の内容をご紹介します。

 

★主催者によるミニ講義★

 今回のテーマにあわせて行った事前アンケートには27社のメンバー企業さまからご回答をいただきました。

 その結果によると、「女性役員が社内にいるか?」という問いに「いない、わからない」が74%とまだまだ日本においては女性役員の割合は少ない現実が浮き彫りとなりました。

 会社として女性の役員を誕生させる必要性を男性管理職も感じてはいるものの、「今後3年以内に女性役員が誕生する、増える可能性は?」という問いには「ある、少しある」の15%に比べ、「ない、わからない」が85%と、女性役員が珍しくない時代にはまだまだほど遠いようです。

 しかし、「女性役員が誕生したら、会社に良い変化がある」と感じている方は52%と多く、女性役員誕生への期待の大きさもうかがえます。

最後に、植田のレジュメのデータからも、世界の中での女性役員数が最も低い国であるという現実がわかり、とてもショックでした。ただ、それだけに今の低迷した日本経済を盛り上げるためには女性役員の誕生は必要不可欠なのでしょう。女性役員をもっと誕生させ増やしていくためには、会社の風土改革や社員の意識改革など様々な問題や課題はありますが、この研究会のメンバーの方々がどんどん役員となり女性活躍推進の牽引役となっていただきたいと強く願うのでした。

 

プレゼンテーション

今回は、株式会社 QIUCK 取締役 カスタマーサポート本部長の伊藤朋子さんより

『女性取締役誕生の意義と社内への影響』というテーマで発表して頂きました。

 冒頭でもお伝えしたように、伊藤さんには『女性管理職が変える会社の未来』をテーマに201111月に発表いただき、取締役として今回再登場となりました。2001年に部長職に就任後、本部長補佐、本部長と12年の時を経て取締役となった伊藤さん。経営陣の一員となったことで社内にどんな影響があったのでしょうか?

まず、伊藤さんが勤務されている株式会社 QIUCK1971年に設立された日本を代表する総合情報ベンダーです。日本経済新聞社グループの金融情報サービス会社として、公正・中立な立場から信頼性の高い情報を配信し、事業法人や官公庁・自治体のお客さまに至るまで、幅広い業界をサポートしている企業です。その中で、伊藤さんは妊娠中に課長職に抜擢され、産後も課長職として復職。お子様を育てながら新しい社内の仕組みを提案・実施し、結果を積み重ねて、総務本部本部長補佐、教育・研修部長を経て、2011年よりカスタマーサポート本部長の役席につき、今年の3月についに取締役に就任されました。

今回、伊藤さんが社内で初めての女性取締役に就任されたことについて、社内ではやはり大きな反響があったようです。男女年齢問わず、「おめでとう、はげみになる、すばらしい!」などと女性役員誕生に対して好意的な意見がほとんどだったとのことです。

伊藤さんの穏やかな口調からは、新卒で入社されてからスムーズに今の地位まで昇進されてきたように感じてしまいますが、女性管理職のロールモデルが少ない中で結婚・出産というライフイベントを経験し、育児や家事をしながらのキャリアの継続は想像以上に過酷なものだったはずです。伊藤さんのお母様の「女性であっても経済的に自立をしなさい。」という言葉が伊藤さんの心の軸となり、「一生働く!」ということだけはいつもぶれずにキャリアを積まれてきたとのこと。そんな凛とした伊藤さんの姿がとても印象的でした。そして、どんな立場であっても「ありがとう」「ごめんなさい」が素直に言える人でいようということを常に心がけ、相手によって態度を変えるようなことはせず、“とにかくコミュニケーションを自ら図り、話に真摯に耳を傾ける”という姿が素晴らしいと感じました。

実際に取締役になって伊藤さん自身の変化としては、心の変化として「経営に対して発言ができるようになり責任はあるがやりがいがある。」と感じられているとのことです。環境の変化としては「他社の役員の方々に会う機会が増えた。」とのこと。この新しい出会いの中で人から学ぶことが大きいと、伊藤さんはキラキラした目で話されていました。また、カスタマーサポートで長年勤務されて定年退職を迎えた社員の方との素敵なエピソードなど、心が充電し前向きに頑張ろうというパワーを頂いた内容でした。

最後に、伊藤さんから“チャレンジ&チェンジ”目標に向かってチャレンジ!失敗したらチェンジ!という心強い応援メッセージを頂きました。今日は、貴重な女性取締役としての事例を本音で発表いただき、本当にありがとうございました。

 

グループディスカッション

事例発表していただいた伊藤さんを囲むグループと主宰者の植田と伊藤さん部下でご自身も管理職である末本さんを囲むグループに分かれ、途中パネラーを交代して「女性取締役誕生の意義と社内への影響」といったテーマを中心にディスカッションが進みました。

 

伊藤さんを囲むグループでは1人ずつ自社の女性活躍推進への取り組み状況や、今回の事例発表を聞いての感想や質問などをしていきました。

制度はできたものの、「男女の差別なく頑張りたい」という人と、「給料さえ貰えればいい」と制度にぶら下がり状態の人と2極化しており、ぶら下がりの方をどうするのか問題となってきているという意見がありました。ある企業では、ぶら下がりの人をどうにかするというより、まずは育児休暇、時短勤務取得者であっても仕事の成果によって評価して欲しい、という積極的な方を支援し、その絶対数が増えていくことに注力していくことを優先しているそうです。他社でも意識が高い女性は、FAX1枚取りに行く時も時間を無駄にすることなく、次の段取りを考え、席に戻る途中で打ち合わせを済ませてしまう。まさに1分も無駄にしない工夫をしている方もいるそうです!頼もしいですね。時短だからこそより業務が効率化され、会社も社員もWin-Winの状態になることがあるべき姿だと感じました。残業に対する捉え方についても、まだまだ壁があるようで残業ができない社員は評価も昇進もできないという『暗黙のルール』が根強く残っている企業もあるようでした。本来、能力評価をする際、同じ成果を5時間で仕上げる人と9時間で仕上げる人では、5時間で成果を出す人の能力が高いはずですが、実際は長時間残業した方が、残業をしたことで評価されているようです。女性が活躍するためには、制度だけでなく、評価する側の評価基準や評価者の教育が非常に重要であると思いました。

 

主宰者の植田と末本さんを囲むグループでは、部下からみた女性取締役が社内に与える影響についてお話をお聞きしました。伊藤さんのマネジメントについてお聞きすると、まず無駄が無い。また、厳しい要求を常に求められるが、根底に愛情があるから頑張れる。「あなたの力はまだ60点だけど、ここを伸ばせば70点になれるのよ。もったいない!あなたならやれる!」と言われるとつい頑張ってしまう。また、仕事に対して明確な目的と目標を示してくれるため、非常に仕事はやり易く、今では当初冷やかに見ていた50代のベテラン男性社員の方から「何十年も会社に勤めているが、今が一番職場の雰囲気がいい」といってくれるそうです。母性を持った女性特有のマネジメント法だと思いました。また、できるだけ全ての人に公平にコミュニケーションをとるようにしている様子で、ランチは違う世代の方とも食べるようにしているそうです。若手社員から役員まで、また時には社外の方まで、老若男女問わず色々な人と話すことで、ランチの場は上司や部下、社外の方とのコミュニケーションの場となり、またメンターとしての役割を果たす場にもなりと、本当に無駄なくフルに働いていらっしゃるそうです。残業しなくてもマネジメントの工夫で、管理職にも役員にもなれることを証明してくれたことで、社内の女性や若い人に与える影響は非常に大きいそうです。

また、「末本さんから見た伊藤さんってどんな人?」とお伺いすると、末本さんから見た伊藤さんは、「とても意志が強い」「あきらめない」「人を巻き込む力が強い」とのこと。末本さんからはそれぞれ具体的なシーン、そのときの伊藤さんの様子などをわかりやすくお話いただきました。また、伊藤さんの姿に末本さんご自身が良い影響を受けて、前向きにお仕事に取り組んでいらっしゃることもよくわかりました。教育・研修部長をご経験された伊藤さんは、新入社員や若手社員とも顔見知りです。また、秘書部での勤務経験もおありなので、役員層やOBの方々との交流もあるそうです。幅広い年代・役職の方との日ごろからの交流があるからこそ、人望も厚く、人を巻き込む力が強いのかなと思いました。

制度は整っても、女性自身の意識の問題、評価の問題、環境の問題とまだまだ女性がイキイキと活躍するためには問題山積ですが、伊藤さんのような素敵な女性取締役が誕生し、女性の意見が経営会議に反映されてくると会社も変わっていくのだと思いました。

 

次回の研究会は、「2030代肉食女子たちが求めるロールモデルとは」と題して1015日(火)に開催いたします。たくさんの皆さまのお越しをお待ちしております。

 

文責:キャリアコンサルタント 川村貴子、キャリアコンサルタント 田中慶子、株式会社日経BPマーケティング 神田絵梨