「影響力大の経営層にこそ必須のダイバーシティ、女性活躍推進教育」



82回となる研究会は、株式会社日立製作所 人財統括本部 ダイバーシティ推進センタ 部長代理 神宮純緒さんをゲストに迎え、下記の通り、2部構成で開催致しました。



*第1部*13301500

・植田ミニ講義

・事例発表(質疑応答含む)

*第2部*15301630

・グループディスカッション



今回は36社の皆様からアンケートにご回答いただき、当日は1519名(オブザーバー含む)の方にご参加いただきました。以下、今回の研究会の内容について、それぞれ一部分をご紹介します。



*主宰者によるミニ講義*

事前に集計したアンケートの回答では、女性活躍推進、ダイバーシティ推進に積極的な経営層は、「全員が積極的」「半数が積極的」をあわせて64%、経営層が発信するメッセージについては、「たくさんある」「少しある」をあわせて83%という回答となり、アベノミクス効果や他企業の事例や新聞報道から刺激を受け、積極的にリードする経営層が増えている現状がわかりました。具体的な行動としては、女性リーダーミーティング、管理職研修での講話やイントラネット、社内報での発信などが挙げられ、その影響は「大きい」「やや大きい」をあわせて63%となり、経営層の積極的な行動は組織風土の変化を生み出し、女性社員はもちろん、男性社員の活性化にも繋がっているという回答をいただきました。一方で経営層の女性活躍推進、ダイバーシティ推進に対する意識、言動に問題、課題を感じている方が「ある」「少しある」をあわせて63%となり、経営層と直接話し合う機会の必要性を感じているか?の設問には、「感じる 68%」、「少し感じる 22%」という結果から、経営層の理解はあるが具体的な行動や施策が実施されるにはもう少し時間がかかるようだと感じました。

 植田からは、ここ10年間で経営陣の意識が変化してきたものの、昭和の人生観、家庭観(男が外で働き、女性が家で子育てが幸せ)に執着し、変会を認めたくない少数頑固者も残っており、“経営陣が「女子力」が会社の未来を開き成長することを信じ、本気で取り組む覚悟が必要!”と熱いメッセージが語られました。また、50代経営陣の本音に触れ、心を動かすコツとして、家庭のこと(娘、息子、両親の介護)の話しで実感させることや、女性部下と一緒の参加型研修で自己開示を体感すると効果が高いとのアドバイスがありました。



*事例発表*

今回は「影響力大の経営層にこそ必須のダイバーシティ、女性活躍推進教育」のテーマで、株式会社日立製作所 人財統括本部 ダイバーシティ推進センタ 部長代理 神宮純緒さんに発表いただきました。日立グループでは、変化の激しい世界市場において、顧客や職場メンバーの国籍、性別、年齢、文化、価値観等の違いを理解し、多様な考え方や発想をビジネスにおける競争力強化に活かす取組みを加速しています。そんな日立グループにおける「経営戦略としてのダイバーシティ推進」について、TOPによる強いコミットメントの下、グループ一体で進める具体的な施策の概要と課題を伺いました。

従来の『モノカルチャー』『同質』な組織では、変化の激しい世界市場において戦えない。もっと多様な人財が活躍するダイバーシティが強みの組織へと変化することがグローバル競争に勝ち抜くためには必要だと打ち出し、そのための『試金石』として女性活躍推進に取り組まれているそうです。とはいえ、社員の8割以上がエンジニアで占められる日立製作所では、女性社員比率16.6%、女性管理職比率3.8%(2013年度実績)という状況で、まだまだ男性中心。政府が提唱する2020年に30%の女性管理職をという目標は意識しつつも、実情を踏まえた実効性のある数値目標を設けて、女性の活躍支援を積極的に進めています。

具体的な取組みとして、女性が活躍する上で課題となる項目を整理し、各々のテーマに

沿った様々な施策をグループ全体で推進しています。2013年に社内カンパニー及び主要グループ会社(合計30社)を対象に「日立グループ女性活用度調査」を実施、ヾ浜職登用度、▲錙璽ライフバランス度、女性活用度、っ暴均等度 の4つの指標で、各社の状況を数値化し「見える化」するとともに、同業他社との比較も実施しました。その調査結果を踏まえ、各社が数値目標を策定し、重点施策を具体化することにより取組みが形骸化しない工夫をしています。

主な取組みとして、日立グループの部長相当職以上の女性管理職を対象とした「日立グループ女性リーダーミーティング」、産休・育休予定者/休職者/直近の復職者とその上長を対象に早期復職、復職後のキャリア継続・開発、上長による正しいサポートの理解を促す「産休前・復職支援セミナー」、入社後満3年の女性総合職を対象とした「若手女性向けキャリアセミナー」などの教育・研修プログラムを体系的に整備し、女性の意欲喚起・ロールモデルの提示に注力しています。加えて、経営戦略としての『ダイバーシティ推進』『ワーク・ライフ・マネジメント』に対する理解を深める「ダイバーシティ・ワークショップ」、社員一人ひとりが自律的にワーク・ライフ・マネジメントを実践する全社運動「WLB-up!月間」の実施などを通して、働き方の見直しや男性(管理職)の意識改革も同時に進めることにより、実効性の高い女性活躍支援をめざしているとのことです。このような複合的な取り組みを進め、現在日立製作所では2015年までに女性役員登用 2020年出度女性管理職1000人(2012年度比2.5倍)という高い数値目標の達成にチャレンジしています。一方で、待機児童対策を中心とする子育て支援策の充実や、特に製造業で大きな課題となっている「理系女子」の確保・育成など、女性の活躍支援において企業の取組みだけでは不十分なテーマについては、機会ある毎に政府・関係機関への働きかけを実施しているとのことでした。

質疑応答では日立製作所の取り組みへの踏み込んだ質問など活発な意見交換がされました。女性活躍推進を進めるためのポイントは、オールドキャリア体質の日本においては、ボトムアップだけでなく、経営TOPのコミットメントの下、部門長、管理職へと考え方を着実に定着させることとのサンドウイッチでの対応が重要であり、TOPが常に自身の言葉で発信しているかどうかが各社の差となっているようでした。



*グループディスカッション*

主宰者の植田および発表者の神宮さんを囲む2つのグループで、グループディスカッションを行いました。その一部をご紹介します。

 今回のディスカッションでは、女性活用を中心に据えたダイバーシティ推進を行っていくなかで、経営層や男性管理職の理解を得るために工夫していることについて意見交換がなされました。いまはまだ男性管理職の多くが、24時間働ける男性を部下に持ちたがる傾向にあります。ただ、世の中は変わり、育児や介護・看護など時間制約のある社員がますます増えていきます。日立製作所様の従業員意識調査でも、介護に対する不安を抱える社員は8割に上るそうで、育児のみならず、介護や自身の体調不良などによって、時間制約のある働き方を選択せざるを得ない社員が増えることは避けられないという点も強調して言い続けているとのことでした。

これまで擦り込まれてきた価値観が劇的に変わることはなくても、自分ごとになるよう言い続け、行動を促すことで、やがて変化する社員が増えていき、風土が変わっていくのだと思います。あらためて、企業のダイバーシティ推進ご担当者の大変さを実感しました。



文責:キャリアコンサルタント 田中慶子 株式会社日経BPマーケティング 神田絵梨 キャリアコンサルタント 山岡正子