「だからこそ増えてほしい!女性執行役員たちが見た会社の景色、気づき」

 

2015年、1回目となる今回の研究会は、「だからこそ増えてほしい!女性執行役員たちが見た会社の景色、気づき」をテーマにカルビー株式会社さまより3名の方に発表いただきました。

人事総務本部人事総務部長兼ダイバーシティ委員長 高橋文子氏

執行役員コーポレートコミュニケーション本部長 後藤綾子氏

執行役員経営企画・IR本部長 早川知佐氏

 

概要は次のとおりです。

*第1部*13301500

・植田ミニ講義

・事例発表(質疑応答含む)

*第2部*15301630

・グループディスカッション

当日は2238名(オブザーバー含む)の方にご参加いただき、植田の講義、カルビー株式会社さまの事例発表、そして第2部のグループディスカッションという形式で開催されました。

 

以下に、一部となりますが、当日の様子をご紹介させていただきます。

 

*主催者によるミニ講義*

今回は事前アンケートに36社から回答をいただきました。

「あなたの会社に女性役員、経営陣(取締役・執行委員)はいますか?」という問いには、“常勤でいる19%”、“社外取締役でいる19%”、という回答となり、「今後3年以内に女性役員が誕生する、増える可能性は?」の問いには、“ある6%”、“少しある11%”という結果となりました。女性役員を増やすことに積極的な男性経営陣は、“積極的 9%”、“やや積極的 17%”と約25%の前向きな数字を得たものの、理解だけで行動に結びつかない、対象となる女性社員が少ないなどの課題があり、「総論賛成、各論反対」、「表向きは賛成しているのだが...」というように、実際には難しいと感じているコメントもあげられていました。実際に女性役員が実在する企業からは、女性役員の態度、行動の違いとして、「自分ではなく皆が主役という意識を持っている」、「育てる、という意識が感じられる」などの意見が挙げられており、「女性役員の誕生や増加で、会社は変わるでしょうか?」の問いには、“良い変化がある42%”、“少し良い変化がある29%”という結果に高い期待が感じられました。
 植田自身が長年にわたる男性経営陣に対する研修を行って感じているのは、約
2割の古い体質の方が持っている“年功序列、男尊女卑の価値観”が、女性活躍推進、ダイバーシティ推進の壁となって見え隠れしているということでした。母性の開花した女子力は、本能として人材育成に取り組み、10年後に自分がいなくなった後の社員のことを、本気で心配して進めています。女性の視点と視野(見えるもの、感じること)は男性と大きく異なります。管理職になることは働き続けたゴールではなく、何をするためにその立場に立つのか。昭和な体質を捨て、変化に富んだ平成の風土改革に踏み出すためも、経営層に女性が3割以上入る必要性が熱く語られました。

 

*ゲストによる事例発表*

“生え抜き、中途、そんなの関係ない。” 高橋さんからは会社紹介と共に、人事制度についてお話しいただきました。「女性の登用、やめられない、とまらない」2010年より松本会長の指揮の下、取り組まれた女性活躍推進、ダイバーシティの成果は利益も売上高も毎年成長を続け、女性管理職比率は6%弱から14%強へ、2014年には「なでしこ銘柄」に選定。現在、トルコ人の女性や中国人の男性の取締役と4名の女性執行役員を抱えている同社では、2020年には女性管職比率30%を目標に明確な数値の比率目標を掲げていらっしゃいます。人事制度についは、「この成長を加速し、強い組織へ」「自立的に成長し、成果を出し続ける人、組織づくり」をするために大幅な評価制度の改定を行い、それまで複雑で見えにくかったものをよりシンプルに公正に成果を出した人が評価される仕組みへと変えていったそうです。契約と結果責任をベースに自分自身の目標を決め、上司にコミットする評価制度では、自分の上司がどんな契約をしているのかをもイントラネットで見ることができる、オープンな仕組みとなっているそうです。また、興味深かったのは『人財交流サミット』。管理職をはじめとする人事を関係する管理職が一堂に会して決定していく場です。本部長は自分の業績責任を果たすために必要な部長を指名、部長は課長を指名し、『人財交流サミット』にて人事が決定するという仕組みです。またそれ以外にも様々なチャレンジ制度(役職チャレンジ、4年目チャレンジ、新卒ドラフト、海外武者修行チャレンジ)が設けられており、チャレンジすることが風土となっている環境が感じられました。

後藤さんからは入社してから今までを振り返り、その時々でやってきたこと、考えたこと、感じたことをお話しいただきました。入社当時は営業職として入ったものの、これからというときに秘書へ。その後秘書をしながらNPOへの参加や風通しのいい職場づくりのプロジェクト『フリーアドレス制』に取り組み、2010年ダイバーシティ推進委員長へ。2年後の2014年に広報部長に抜擢されたそうです。その時、「まだ自分には早いのでは・・・」と思ったそうですが、先に3名のお姉さま方(女性執行役員)がいらしたので、思い切って引き受けたそうです。このポジションになって良かったことは、意思決定者と直接話し合いができるようになったことで、問題を自己完結できること。だからこそ自分でなければできないことをしっかりと果たさなければいけないと考えているとのことです。

早川さんは前職で証券会社、中堅通販会社を経てカルビーにIR担当として入社され現在までのことを自然体で語ってくださいました。最初の証券会社でよい上司に出会い、働きながら税理士資格を取得されたこと、次の中堅通販会社では管理職になり、マネジメントがうまくいかず苦労されたこと。でもその経験のおかげで肩の力が抜け、今のマネジメントに活かすことができているそうです。今、女性活躍推進が一種のブームになっており「女性だから執行役員になれたのだ」と言われることもあるが、「それの何が悪いのか」と開き直っている。これまでは優秀でも女性だということで昇進の機会が限られていた。「今はチャンスなので、昇れるだけ昇って力を発揮してほしい」とメッセージをいただきました。みなさん自然体で活き活きしていらっしゃる姿がとても素敵でした。

 

*グループディスカッション*

主宰者の植田および発表者の高橋様・後藤様・早川様を囲む2つのグループで、グループディスカッションを行いました。その一部をご紹介します。

 今回のディスカッションでは、いま役職についていない女性に対して、どのようにアプローチしているかというテーマで議論が展開しました。カルビーさまでは、1人ひとりと話すことで、その人の興味・関心は引き上げられるとの手ごたえを感じているそうです。「管理職になりたくない」という女性に個別に話を聞いてみると、なれないと決めつけてしまっているケースが多いとのこと。「一歩前に踏み出すこと」がダイバーシティ推進には重要、という高橋さんの発言に、参加者みなさんが大きく頷いていました。

 後半は、長時間労働を改善するため、カルビーさまで具体的にどのようなことをしているかをお話しいただきました。まずは評価制度の中で、長時間労働を評価しないこと。そして生産性を上げるために、管理職のワークショップ内で年に1回業務の無駄を棚卸ししているそうです。「今すぐやめるべきこと」「いいことだから続ける」「やらなきゃいけないけれどできていないこと」の3つに分類。とにかくシンプルにすることを常に考えているとのことで、この取り組みは参加者のみなさまにも参考になったと思います。

 

文責:キャリアカウンセラー 田中慶子、株式会社日経BPマーケティング 神田絵梨、キャリアコンサルタント 山岡正子