「労働組合が昭和体質を脱皮し、女性活躍&ダイバーシティのリーダーになる必然性」

  89回となる研究会は、1424名の皆様に参加いただき、「労働組合が昭和体質を脱皮し、女性活躍&ダイバーシティのリーダーになる必然性」をテーマにUAゼンセン 流通部門 執行役員パート総合対策部長 宮島佳子氏にご登壇いただきました。

概要は次のとおりです。

*第1部*13301500

・植田ミニ講義

・事例発表(質疑応答含む)

*第2部*15301630

・グループディスカッション

以下に、当日の様子をご紹介させていただきます。

*主催者によるミニ講義*

今回は事前アンケートに25社からご回答を頂きました。「労働組合三役(委員長、副委員長、書記長)に女性はいますか?」という問いには、“いる12%”と三役はまだまだ少ないという回答となりましたが「労働組合の執行委員に女性はいますか?」という問いには、“いる76%”、「女性の執行委員の人数はこの3年で増えていますか?」という問いには“増えている32%”と女性執行委員が増えているという結果となりました。「労働組合は昭和体質(軍隊組織的)になっていますか?」という問いには、“やや違う12%、違う20%”「労働組合の体質は、ここ3年で変化してきていますか?」という問いには、”変化している28%、少し変化している16%“と変わってきてはいるものの、「現在の労働組合の体質や体制に問題や課題を感じますか?」という問いには“感じる28%、少し感じる40%”という結果となり、まだまだ課題があり、最終男性目線であるという体質に課題を感じられています。

植田からは、終身雇用、年功序列&年功賃金、男性中心、定年退職、悠々自適の昭和の時代から、能力給、男女共同参画、多様な働き方、生涯現役、健康寿命を延ばすという変化、ダイバーシティの時代へと変化をしていかないと日本がつぶれてしまうと警笛。植田自身が企業研修を行っている中で、労働組合主体での取り組みであることで、参加者の気持ちにも変化がおきやすいと感じているため、労働組合自らが昭和体質からの脱却を目指して欲しい。そして昭和のキャリアビジョンではなく、働きがいを自ら見出し、この会社が好き、働き続けたいと社員が当たり前に思える組織風土、メンター制度、社員育成ができるのが組合なのではないかとお伝えさせていただきました。

*事例発表*

続きまして「労働組合が昭和体質を脱し女性活躍&ダイバーシティのリーダーになる必要性」についてUAゼンセン、宮島さんからお話いただきました。宮島さんが執行委員をされているUAゼンセンは、製造産業部門、流通部門、総合サービス部門と多種多様な産業が参加する、国内最大の産業別労働組合組織として201211月に結成されました。組合員の男女別割合は、男性41.6%、女性58.4%、雇用形態割合は、正社員組合員47.5%、短時間組合員52.5%と女性の短時間組合員が多くいらっしゃいますが、女性に組合での活動を誘っても、「やりたくない」と断られてしまうようで、女性がやりたくないという背景には、会議が夜や休日、泥臭い、男臭いという軍隊的な組織であるからではないかと感じているそうです。
 昭和体質の事例として、まず他国の組合活動事例として紹介いただいたアメリカでは、産業別業種別組合であり女性だけの活動に必要な資源をを使うのは無駄遣いと考えられており、また、カナダでは、団結が必要な時に女性運動は労働運動をバラバラにするとされており、女性活躍に対して出る杭を打つという状況は他国も変わらないようだというお話をいただきました。組合活動の交渉スタイルと交渉プロセスとして、「夜を徹して戦って、みんなを疲れ果てさせて最後まで粘れた人だけ交渉成立」というようなことはマニュアルにあるわけではないものの、春闘時期には夜を徹して交渉をするというようなスタイルは依然として存在しているそうです。労働組合運動は、働く人のために変化をおこさせる数少ない運動体のひとつであることは今も昔と変わらないものであり、時代の変化に対応し、変化を起こさせるチャンスをもつ団体として存在しています。

 労働組合の現在の課題としては、次世代組合役員の育成・組合員とのコミュニケーション強化・総労働時間の短縮が上げられます。組合役員には、ある程度会社に勤めていて、会社に意見を伝えられる人が必要だが、仕事のチャンス、女性としてのライフイベントなどが組合活動との壁となり、組合役員になって欲しい人はいても、やってくれる人がいないという現実があるとのことです。組合役員に求められる「人間力・感受性・好奇心・想いの強さ・思いやり・言うべきことは言う、やるべきことはやる・柔軟性・対応能力」は女性でも十分能力が活かされるのでは?と、宮島さんは感じているそうです。現在の労働条件は、介護、育児、家事をケアする必要がないケアレス男性をモデルで作られているので、これからの労働環境整備には、ワーク・ライフ・バランス、ファミリーフレンドリー制度、機会の均等から実態の均等へという考え方が必要であるとのこと。
 女性活躍の課題解決の糸口としては、戦略的に権力を持つ側への挑戦として女性がポストをとりに行くのか、女性の役割は母や妻などといった福祉の機能として整えてとしていくのか、どちらの方向性で組合が取り組んで行くのかを考える必要があるようです。また、時短の管理職を作り、育休中を勤続年数にカウントすることや、男性も「家庭の仕事」を担うなど、この点についても、労使で考えることとして、少数派と決め付けずにスタンスを決めることも必要と考えておられ、女性目線を求める一方で、本当の女性目線を受け入れないのは「ケアレス男性が基本」で当たり前となっているからであると考えているそうです。女性役員に期待することとして「軸を持つ、遠慮しない、おかしいものはおかしいと言おう」というスタンス、期待される女性目線とは「感性」と「母性」を活かすこと、自分だけでやろうとせず周りを巻き込むということで課題解決に近づいていくのではと思われています。
UAゼンセン流通部門では、土日・祝日、夜間年末年始働いている女性のため、休日保育の充実を求める流通100万人署名の取り組みを行っているそうです。この取り組みでは、保育関係者の方に遠慮して取り組みを行わないのではなく、全ての女性が活躍できる社会にという思いで実施されているとのことでした。
 UAゼンセン安藤さんからは、イオンリテールワーカーズユニオン専従男女比率についてお話を頂きました。女性22人、男性48人で、専従役員70名中女性役員は22人で、女性役員比率は31.4%。イオンでは20年前から女性専従の方がいらっしゃったので、女性が活躍しているのが当たり前だったそうです。まずは組合から取り組みを始め、会社へも女性活躍推進をお願いし、女性の働き方を良くする事で、男性の働き方も変わるという結果につながったとの事でした。
 発表を通じて、宮島さんの女性活躍推進へ強い想いが伝わってきました。宮島さま、ありがとうございました。

*グループディスカッション*

主宰者の植田と発表者の宮島さんを囲む2つのグループで、グループディスカッションを行いました。その一部をご紹介します。
 植田を囲むグループでは、アンケートの回答結果を参照しながら、各社労働組合の取り組み状況について発表し合いました。ある企業からは、「労使協調で取り組んでいる企業に、どのような活動をしているか聞きたい」との質問が出て、活発に意見が交わされました。
 宮島さんを囲むグループでは、「休日保育の充実を求める流通100万人署名」の話から「事業所内保育」にまで話が及びました。事業所内保育所の数はここ数年ほとんど増えていないそうです。企業で事業所内保育所の設置が進まない理由としては、設置費や運営費等の負担が大きいことの他に、「休日も働けといわれているように感じる」「通勤ラッシュの中、子どもを連れて行くのは現実的に無理」といった利用者側の声もあるようでした。
 休日保育の拡充については、対応する側の保育士の協力が欠かせないため、その点の配慮も必要となりそうです。偶然参加者の中に元保育士の方がいらして、現場の状況をうかがったところ、休日預ける人の中には見るからに遊びに行く服装で子供を預けにきた人もなかにはいたようで、これからは働く人が優先的に預けられる場所が必要となるだろうとのことでした。これから署名運動を進める宮島さんにとっても、参考になる情報のようでした。
 
次回の研究会は、「50代からの働き方、生き方、避けられない介護と仕事の両立」と題して、519日(火)に開催致します。女性活躍推進とあわせて、今後さらに注目されてくるテーマとなりますのでどうぞよろしくお願い致します。

文責:小松多恵子、神田絵梨