50代からの働き方、生き方、避けられない介護と仕事の両立」

 第90回となる女性と組織の活性化研究会は、「50代からの働き方、生き方、避けられない介護と仕事の両立」をテーマに、双日株式会社 人事総務部 人事・ダイバーシティ推進課 長島裕子氏に事例発表者としてご登壇いただきました。

概要は次のとおりです。

*第1部*13301500

・植田ミニ講義

・事例発表(質疑応答含む)

*第2部*15301630

・グループディスカッション

以下に、当日の様子をご紹介させていただきます。

*主催者によるミニ講義*

 今回のアンケートは26社の皆様からご回答いただきました。現在、50代の社員の割合が3割以上の企業様が20%3年後の比率については、80%の企業が増加傾向になるという回答でした。50代の方々のモチベーションについては、高い0%”やや高い19%”やや低い19%”人による54%”となり、植田自身も研修で50代を教えることがあるが、やはり元気がある人は少ないと感じられるとのことです。介護の問題を抱えている社員の数は、多い8%”やや多い15%”に対し、わからない46%”という結果となった一方、回答者ご自身に対して介護の問題、悩みを抱えていますか?の問いには、66%の方が抱えているという結果となりました。介護支援の制度は整っているものの、社員自身が介護の問題を抱えていることを会社に言わず、会社側としても表面化していないのでその数が把握できていない、というのが実情のようです。

 植田からは、50歳からの人生と50代のモチベーションについて、自分自身の経験も踏まえた話をさせていただきました。親の介護をしながらも、自分の老後に不安を持つ50代、仕事を頑張ってきた人こそ、役職がなくなり収入が減るとモチベーションが下がってしまう。50代からを活き活きと生き、働くためには「人生50年で、生まれ変わる気持ちが大切!」。自分の人生をどうやって生きていくのか、そこには働く上での夢や目標はあるのか。自分自身の人生を正面から受け入れ、人生の師匠としてどれだけの人を育てられるのか。人を育てられる人こそが、会社にとっても重要な役割だということに気づき、人生観をシフトしていくことが重要だと熱く語られました。

*事例発表*

 続きまして「仕事と介護の両立支援」をテーマに双日株式会社 長島裕子さんからお話しいただきました。双日株式会社は、それぞれ長い歴史を持つニチメン株式会社、日商岩井株式会社をルーツに持ち、国内外約410社の連結対象会社とともに、世界約50の国と地域に事業を展開する総合商社として、幅広いビジネスを展開していらっしゃいます。

ダイバーシティの取り組みとしては、女性活躍推進、障がい者支援、ワークライフバランスを3つのコンセプトとして捉え、女性活躍推進においてはスキルアップ研修や制度インフラの整備を進め、障がい者支援においては障がい者の雇用促進を目的としたセミナーや特例子会社の設立などを行ってこられました。ワークライフバランスの取り組みとしては「仕事と育児」、「仕事と介護」の両立を図れるよう、さまざまな支援制度が導入されており、子育て支援では、26か月まで延長可能な育児休職、小学校3年終了時まで利用できる育児短時間勤務制度のほか、べビーシッター利用補助制度、育児休職者復帰支援プログラムなど、社員が安心して勤め続けられる充実した制度をご紹介いただきました。介護面では国の施策に沿って長い期間を経て作り上げられてきた制度があり、介護休暇日数の拡充、複数回取得可能な介護休職制度、介護短時間勤務制度、介護による退職者の再雇用制度のほか、外部機関を利用した遠距離介護サービスや高齢者見守りサービス等も導入されているそうで、働きながら介護を続けられることが考えられた、とても充実した施策だと感じられました。

2010年からは「介護保険制度基礎知識セミナー」、「介護座談会」、「安心介護の心構え」、「支える人を支える」などのテーマで外部から講師を招いたセミナーを開催し、40歳代、50歳代の多くの方が参加されていらっしゃるとのこと。自分ごとと考える男性社員の関心も高く、介護に携わる人の状態を認め、介護で大変な思いをされている社員の方が自分たちの周囲にいるんだ、ということに気づいてもらうきっかけとなったそうです。セミナーの中では介護施設や在宅介護の仕組みや一人で悩まずに上手に介護制度を利用するポイント、そもそも重度の介護にならないための心構えなど、講師自身の幅広い知識や経験に基づいた話が聞け、多くの方から「妻にも是非聞かせたい、社会的にもこのようなセミナーがあると良い」という感想が寄せられたとのことでした。長島さん自身もご家族の介護を経験されており、社員の数だけ介護の状況も様々であるからこそ、多様性を尊重して安心して勤め続けられるような制度を推進していきたい、とおっしゃっており、温かな思いが伝わる素敵な発表を聞かせていただきました。どうもありがとうございました。

 

*グループディスカッション*

主宰者の植田と発表者の長島さんを囲む2つのグループで、グループディスカッションを行いました。その一部をご紹介します。

 植田を囲むグループでは、近いうちに介護を背負いそうな方のお話や植田の介護体験談を中心に話が進みました。大変でも子供の成長が喜びに変わる子育てとは違い、介護の場合はとにかく精神的に参ってしまうため、周囲に相談する人・心の支えが必要であることがよくわかりました。介護について、親が健康なうちに話し合っておくことの大切さはわかるが、どのように切り出したらよいか、何を話しておくか等、意見が交わされました。

 長島さんを囲むグループでは、双日さまで実施された介護セミナーのことや、介護休暇取得に関する詳細について質問がありました。お話を聞いていると、病院の付き添いや、要介護者が介護認定されていない状況でも介護取得は取得できるとのことで、運用面で工夫されていることがよくわかりました。

一般的には未だ、「介護で休む」というと評価に響くのではないかと気にして、人事や社内の人に隠している人も結構いるかと思います。ただ、近い将来、介護を理由に働き方を変えなければならない人が増えると予想されますので、今から社内で理解を深めていくことが大切だと改めて感じました。

次回の研究会は、「子育て中の女性達が活躍するために必要な企業の施策とサポートとは〜彼女たちの悩み、不安と対峙してきたキャリアカウンセラー達からの提言〜」と題して、619日(金)に開催します。今回は通常の企業事例発表ではなく、ワーキングマザー講師2名による特別講演です。たくさんの皆さまのお越しをお待ちしております。

文責:キャリアコンサルタント 山岡正子、株式会社日経BPマーケティング 神田絵梨