「子育て中の女性達が活躍するために必要な企業の施策とサポートとは」

〜彼女たちの悩み、不安と対峙してきたキャリアカウンセラー達からの提言〜

 第91回となる女性と組織の活性化研究会は、特別講演としてキャリアカウンセラーとしても活動しております事務局メンバーの川村貴子と山岡正子が発表させていただきました。

概要は次のとおりです。

*第1部*13301500

・植田ミニ講義

・事例発表

*第2部*15301630

・グループディスカッション

以下に、当日の様子をご紹介させていただきます。

*主催者によるアンケート結果報告*

 今回のアンケートは36社から回答いただきました。ワーキングマザーの数は”増えている、少し増えている”を合わせて82%となり、「育児休暇後の復職率はほぼ100%」、「年々増加で職場の中にワーキングマザーがいるのは当たり前の状態となってきている」などのコメントをいただきました。ワーキングマザーの時短勤務利用者も”増えている、少し増えている”を合わせて74%と、多くの方々が時短勤務制度を利用していらっしゃいます。また、時短に代わる形としてフレックス制度を取り入れているという回答もございました。 ワーキングマザーの職域は”広がっている 17%""少し広がっている 33%"、女性管理職でのワーキングマザーの人数は”増えている 3%”、”少し増えている 43%”、となり、少しづつではありますがワーキングマザーが活躍する場面の広がりが感じられてきました。ワーキングマザーの活き活き度や悩みについての質問では、個人差があるという回答が大半を占め、そんな彼女たちをとりまく上司や周囲のサポートについても同様に、個人差があるという回答が大半となりました。施策については制度以外に子育てに関する悩みを話し合う場を設けたり、ママランチ会を実施するなど積極的に取り組んでいる企業が69%となっているものの、キャリア形成や男性、女性の意識改革、風土改革などに問題、課題を抱えていますか?という質問には“ある、少しある”を合わせると94%という高い数字の結果となりました。今回、アンケートに回答いただいた女性のうち半数がワーキングマザーであり、子供を産んでも働き続けるのが当たり前の時代となっている現状が反映されていると感じられました。

*キャリアカウンセラーからの発表*

最初に山岡正子より、自身がワーキングマザーとして働き続けてきた経験も踏まえて女性活躍再就職支援の現場から感じたことを伝えさせていただきました。

女性が働き続けることが当たり前となった時代において、未だ約6割強の女性が結婚、出産を機に会社を辞めている現実があります。退職の理由としてあげられるのは、「制度はあるけど使っている人がいないし、申請できる雰囲気ではない。」「責任のある仕事を任されなくなり、居心地が悪い。」「産む自由、産まない自由、同じ女性からの風当たり。」などなど。「頑張りたい!」「働きたい!」とは思うけど、今の環境では将来の働き方が描けなくなってしまったと言って退職してしまいます。しかしながら、金銭的にも自分の成長のためにも働きたいという気持ちは強く、保育園、幼稚園への入園時期に再就職を考えます。正社員として働き続けていれば時短を使いながら子育てができますが、まだまだ親の手が必要なこの時期に、フルタイムの正社員として再就職することは、ママ自身が躊躇してしまいます。パート社員で働く?保育園っていくらかかるの?パートで保育園って、、、赤字?子供が小さいと敬遠される?企業はワーキングママを待っているのだけれど、一歩を踏み出せずにそこから数年、家庭に留まってしまうママ達もいます。そして、小学校、中学校への進学のタイミンングで、ふたたび再就職を考えます。子供に手がかからなくなり、家にいるのは私だけ。家族のために退職したけどもう一度働きたい!輝きたい!でも、10年以上のブランク、私に何ができるのか?大企業に勤めていた過去は、全く役に立たない。キャリアを持たない自分に自信喪失し、自分にできることは何もない、というような自己否定の気持ちを抱いてしまいます。行政、企業、既に制度は整っていると思います。大事なのは結婚、出産、育児は特別なことではなく、長い会社人生の中の一通過点であり、見守り助け合える環境と柔軟性だと思います。企業はワーキングママの成長機会を奪わず、期待と承認の気持ちを持って育ててほしい。そしてワーキングママは自信と責任を持って、自分の人生を選んでいってほしいと思います。

 

続きまして、川村貴子より今回のテーマに対して、ワーキングマザーの目線で発表させていただきました。

近年、女性たちは結婚しても出産しても仕事を続けていくことは珍しくなくなってきました。それは、女性たちが働き続けていくことへの理解が広まってきたからなのでしょうか?確かに、育児休暇や時間短縮制度など国や企業側が様々な施策をつくり、昭和の時代に比べたら働きながら子どもを生み育てる環境は整ってきています。私は、今まさしく小学4年生と保育園の年長の男の子の子育てをしながら働くワーキングマザーです。子どもを育てながら働くことは、まさに毎日が綱渡りの連続です。子どもがインフルエンザなどの感染力のある病気になってしまうと、1週間近く小学校や保育園を休まなくてはいけない。そんな時、実家のサポートがなかなか受けられない我が家では夫婦でなんとか仕事を調整して休みをとるしかありません。ベビーシッターなどの外部の力に頼るためには、相当の費用が必要です。特に地方になれば、そういったサービスも受けられないところが多くあります。企業でワーキングマザーを支えるいろいろな施策も作られていますが、日本の企業の中でそんな企業はごくごくわずかな大企業のみ。日本の99.7%を占める中小企業では、育児休業制度があっても職場に復帰できない現状が今も多くあるのです。職場復帰できたとしても、子育てしながら働き続けていくことに悩みは尽きません。ワーキングマザーにとって、経済的支援や制度の整備も大切なことですが、企業の経営陣は短期的な結果ばかりを期待するのではなく、中長期的に取り組む覚悟が必要なのです。そして、何より女性活躍推進を進めていく上で、一番大切なことは職場の雰囲気=社風です。急に休まざるを得ないときに「大丈夫だよ、お互い様だよ。」と言い合える。そして、「うちの会社にはあなたが必要なんだよ。応援しているよ!」という上司や同僚からのメッセージ。自分の存在価値を職場で感じられたとき、女性たちは、ワーキングマザーたちは、母性はフル回転して仕事に向き合っていくのです。限られた時間の中で精一杯の成果を出せるよう働き、限られた時間の中で子育てを楽しんでいく。ワークもライフも幸福感が感じられるのが一番なのではないでしょうか?そんなワーキングマザーの実情を知っていただき、女性活躍推進に活かしてほしいと考えています。

*グループディスカッション*

今回は発表者の川村と山岡を囲む2つのグループで、グループディスカッションを行いました。その一部をご紹介します。まずは各社の育児時短制度について意見交換がなされました。小学校4年生まで時短で働ける企業、フレックス制度の導入で個々が柔軟に対応している企業など様々でした。また、時短勤務者の働き方・モチベーションについても話が広がりました。職種や業務内容による個人差があることを前提として、誰から見ても効率よく働き成果を上げている人と、楽をしているように見えてしまう人の二極化しているというのが、多くの企業での共通認識でした。後者について、現役ワーキングマザーである川村さんの意見が印象的でした。「そもそも働くということは、雇用者から賃金をもらっているわけで、その対価として成果は出さなければならない。働く時間が短くても、楽をしているように見えるのは問題。上司がきちんと話をする必要がある。」仕事と育児の両立についての話題では、結婚したばかりの女性が子育てと仕事の両立にかなり不安を感じていたので、先輩ママからより具体的な両立術のディスカッションが行われました。仕事で工夫していることとして、大きく3つ。(1)仕事は常に前倒しにすること。(2)急な休みに備え、他の人が見てすぐにわかるよう整理整頓、見える化しておくこと。(3)子どもが病気しないよう手洗いうがいの徹底、予防接種など、とにかく予防をしっかりすること。残業や子どもが病気のときは実家が離れていて援助を得られない方は本当に苦労されているようです。夫婦でその日の仕事内容によってどちらが休むかを決める。でも結局は女性の負担が大きい。ベビーシッターにお願いするなど何とか乗り切ってきた。中には、ママ友同士が協力して子どもを預けあうなどというケースもあるとか。でもやっぱり一番は夫の協力。手伝いというよりほとんどの家事・育児はやってくれる。1人目のときはそうではなかったが、2人目ができたときこのままの状況では両立できないことから夫がすべて分担してくれるようになった。という意見も。また、子どもの成長とともに家事は楽になるし子どもに助けられている。2人とも男の子でも家事は協力してくれる。など、ワーキングマザーの子どもはしっかりと育メンとしての教育を受けているようです。

これからは、育児時短のみならず、介護時短勤務者も増えていくことと思います。限られた時間でいかに成果を上げるか、その評価をどうするかなど、社員の意識改革や企業側の対策を今後ますます進める必要があると感じました。

次回の研究会は、「予算ゼロでも会社を変える!立ち上がった女子力パワーの広がりと可能性」と題して、728日(火)に開催します。たくさんの皆さまのお越しをお待ちしております。

文責:株式会社日経BPマーケティング 神田絵梨、キャリアカウンセラー 川村貴子、ディ・マネジメント株式会社 田中慶子、キャリアカコンサルタント 山岡正子