「『予算ゼロでも会社を変える!』立ち上がった女子力パワーの広がりと可能性」

92回となる女性と組織の活性化研究会は、「『予算ゼロでも会社を変える!』立ち上がった女子力パワーの広がりと可能性」をテーマに、日本オラクル株式会社 コーポレート・シチズンシップ プログラムマネージャ 川向 緑氏に事例発表者としてご登壇いただきました。概要は次のとおりです。

*第1部*13301500

・植田ミニ講義

・事例発表(質疑応答含む)

*第2部*15301630

・グループディスカッション

以下に、当日の様子をご紹介させていただきます。

*主宰者によるミニ講義*

今回のアンケートは29社の皆さまからご回答いただきました。女性活躍推進が会社の経営戦略に入っているか?との問いでは、60%以上の企業が「経営戦略に入っている」と回答。重点項目として入っている企業も全体の2割ありました。推進部門としては、会社人事部門が41%、会社専門部署が21%で合わせて62%となり、多くの企業が会社主導で進めていることがわかります。また、推進をリードしているキーパーソンは男女混合との回答が62%、彼らのモチベーションは概ね高いようです(高い48%、やや高い28%)。ただ、彼らの社内への影響力はモチベーションほど高くないとの結果でした(大きい28%、やや大きい24%)。女性活躍推進はどんな雰囲気で進んでいるか?との問いで一番多かった回答は「少し楽しそう42%」でした。コメントにある「兼務のため若干苦しそう」や「前例もないので不安も大きい」というのは、多くの企業に当てはまりそうです。最後の問い、今の役割を外れても女性活躍推進に関わりたいと思うか?について、87%の方が「関わりたいと思う」と回答。研究会参加メンバーの意識の高さ・思いの強さがよくわかる結果だと思いました。

植田からは、女性活躍推進・ダイバーシティ推進に対する男女の感度の違いやキーパーソンの必要条件、組織風土改革の必要性について話をさせていただきました。特に組織風土改革を進めるためのポイントの中で、「誰がリードするか」の重要性と自主的な活動も会社に認められなければただの自己満足であること、1人ではなくチームで活動することが重要であると、多くの企業を見てきた体験を踏まえて熱く語られました。

*事例発表*

続きまして、日本オラクル株式会社(以下、オラクル様)、川向緑氏より、事例発表を行っていただきました。今回、オラクル様からは同じ志しを持つ4名の素敵なメンバーも参加いただき、その明るい笑顔から活発に行われている日々の活動が伺えました。オラクル様は世界屈指のIT企業であり、世界規模のMAなども行われていることから男性女性はもとより国籍を超えた多様な人々が働く環境、ダイバーシティは日常の風景となっているとのこと。そんな中で女性社員自らが推進するボランティアグループOracle Women’s Leadership (以下、OWL)の活動が世界的に広まり、日本でも2011年から活動が開始されました。

メンバーは人事主導ではなく、「女性のリーダーシップを開発する、社内のワーキンググループの活動を支えたい!」と思っているメンバーが自主的に集まり、“魚の一本釣り”のように熱意を伝えて周囲の人を巻き込んでいく。活動の内容は、やりたいと思ったメンバーが手を挙げ、自らがリーダーシップをとって進めていき、賛同するメンバーも自分ができることで積極的に参加し盛り上げていく。フラットで機能性の高い組織体系が企業の風土となっており、アメーバのように柔軟に形を変えながらプロジェクト単位でリーダーシップを取る人が変わることを自然に受け入れることができる。また参加メンバーにとっても業務の中でリーダーとして手を挙げる事には躊躇してしまうが、OWLの活動であれば助けてくれる仲間がいるので安心して手を挙げられる、そしてそれがリーダーシップの学びの場となっているという点が素敵なポイントだと感じました。

活動はキャリア開発、ロールモデル、勉強会、サーベイの4つの分科会を中心に、お金をかけずに熱意を伝えることで社内外、多方面からの協力を得て成り立っているそうです。活動の中では男性の経営者層の方々にもロールモデルとして参加いただき、国際女性デーには経営者層から女性社員に向けた応援メッセージを発信。また、“イクボス・イクメン”や“介護”のテーマでは、自分ごととして男性社員の方も参加し、ワークライフバランスについて働き方を考える場面となったとのこと。そして、熱意と善意の集団だからこそ、自己満足にならないようお互いに意識し、活動のフィードバックや振り返りを行うことも大切にしているそうです。活動は社内だけにはとどまらず、近隣企業の女性達と繋がる“青山女性ネットワーク”では、お互いの企業を訪問したり、テーマを決めてディスカッションする場を設けるなど、女性の共感・共鳴力が横展開を成功させる鍵となっています。また、外部との協業活動が活発になるにつれ、共同セッションや大学への講師派遣などの依頼が増え、業務以外の活動で企業価値を上げ会社や社会に貢献できていると感じられることも魅力のひとつだと感じました。

ワーキンググループ内でリーダーシップを発揮する機会が増えたことで、仕事上での働き方やコミュニケーションスタイルが変わった人や、マネージャーになってみたいという気持ちを持ち始めた人、人事に頼らず、自分で自分のキャリア、なりたい姿を自分で考えるようになった人、たくさんの成長が見られているようです。今後もプロフェッショナルなボランティア集団としてOWLの活動を続けると共に、主業務を両立し、メンバーがビジネスでも成果を出すことによってOWLの価値が認められ、さらに発展していくことを目指すと語られた川向さん。素敵な発表をありがとうございました。

*グループディスカッション*

主宰者の植田と発表者の川向さんを囲む2つのグループで、グループディスカッションを行いました。その一部をご紹介します。

 川向さんを囲むグループでは、オラクル様シンガポール支社で実施されている地域メンタリングについて話をうかがいました。女性エグゼクティブを囲み、15名くらいでグループメンタリングを行っているとのことで、それに近いことを青山でもできないかと検討していらっしゃるとのことです。先ほどの事例紹介でも伺った“青山女性ネットワーク”についても話が盛り上がり、とても良い取り組みだと思いました。同じ業界内でコミュニティがある、異業種でも人事担当者同士の仲が良く交流があるという話は聞いたことがありましたが、同じ地域の企業同士が交流して女性活躍推進に取り組むというのは、珍しいと思います。参加者からは「会社は青山にないが、機会があればイベントを見学したい」といった声もあがっていました。また、私が印象に残ったのは、「誰かが出したアイデアに対して、反対意見やネガティブな反応は出ない。どうやったらそれが実現できるかをみんなで考える」というお話です。熱意あるメンバーが少数精鋭で取り組んでいるからこその姿勢だと思い、感動しました。

 植田を囲むグループでは、日本オラクルさまで「男女の差を感じない」というのは、どのようなことからそう感じるのか、という質問があがりました。大きな違いは「何で評価するか」で、外資系やベンチャー企業の場合は「能力」、ドメスティックな企業は「時間」で評価している傾向があるということでした。日本企業の、長時間労働が美徳とされる風潮は少しずつ改善されてきているものの、時短勤務者が周囲に気を遣いながら退社していく様子や、男性が時短勤務することに対する上司の理解の低さから、やはり長く働くことが当たり前になっているのを感じます。この意識を変えていくことが、日本企業ではますます重要になっていくことでしょう。

次回の研究会は、「女性管理職育成7年目!育ってきたロールモデルたち!と次の課題」と題して、98日(火)に開催いたします。たくさんの皆さまのお越しをお待ちしております。

文責 株式会社日経BPマーケティング 神田絵梨、キャリアコンサルタント 山岡正子