『ダイバーシティ時代の管理職の人間力アップの必要性』

 早いもので、今回が2015年最後の研究会となりました。11月の研究会は「ダイバーシティ時代の管理職の人間力アップの必要性」をテーマに実施しました。時代の変化とともに、会社や人の意識も変わらなければならないこと、管理職の人間力がアップすると組織にどんなメリットをもたらすのかなどを、参加企業メンバーで共有しました。

概要は次のとおりです。

*第1部* 13:301500

・植田ミニ講義

・事例発表(質疑応答含む)

*第2部* 152016:30

・オブザーバー、事務局からのお知らせ

・グループディスカッション

当日は1315名(オブザーバー含む)の方にご参加いただき、植田の講義、生活協同組合連合会コープネット事業連合 人材開発部 教育研修課長 太田邦江さんの事例発表、そして第2部のグループディスカッションと、本音ベースの対話が繰り広げられました。 以下、今回の研究会の内容について、それぞれ一部分をご紹介します。

*主宰者によるミニ講義*

事前に集計した22社のアンケート回答では、管理職の企業戦士度、オールドキャリア度(昭和度)が「高い」との回答が95%となり、多くの管理職が昭和を引きずっていることが明らかになりました(高い54%、やや高い41%)。彼らの部下にあたる20代30代で、メンタルを病む人や辞めてしまう人が「いる」と回答した企業は85%でした(いる33%、ややいる52%)。40代でもいる、増えている、減らないとのコメントもありました。心の病、離職の原因はさまざまだと思いますが、組織風土や上司の言動が少なからず影響を及ぼしていると考えられます。

管理職に対するモチベーションマネージメントや人間力に関する研修を「やっている」と回答した企業は45%で、計画中9%と合わせると、回答企業の半数以上で取り組んでいることがわかりました。また、研修後の管理職自身に良い変化が「ある」と答えた企業は43%でした(ある24%、少しある19%)。この結果について、植田の実感値として、女性の研修に比べると極めて低いという印象のようです。

管理職に対する研修、教育の必要性は「ある」との回答が100%でしたが、研修を行う上で課題や問題があるとの回答が90%でした(ある57%、少しある33%)。具体的には、売上数値に関する研修の方が優先順位が高い、研修時間の確保が難しい、出席率が悪い、研修の必要性を感じていないなどがあげられました。研修の必要性があっても、実現するまでには多くの問題があることがよくわかりました。

 植田からは、女性活躍推進、ダイバーシティ推進講演で使っているスライドを用いながらのミニ講義がありました。時代が変わったのに、会社も人の意識も変わらないままの組織を「昭和タイタニック号」と名付け、変わらなければ沈没していくと解説。そのまま沈むか、逃げ出すか、あるいはみんなで立て直すか。社員1人ひとりの意識を変えて、昭和体質を変えることが強い組織づくりにつながると言及しました。また、ニューキャリア時代に求められる管理職像や意識改革のための研修企画のポイントを解説しました。「昭和な企業戦士管理職の下では女性も男性もつぶれる」「男性管理職が研修を受けるときは女性部下が一緒だと心が開きやすい」「男性のDNA入れ替えには2日必要」など、植田が過去に多くの企業で研修を行ってきた経験からの言葉は、説得力があり、参加者の心に響いていたようです。

*事例発表*

 今回の事例発表は、「ダイバーシティ時代の管理職の人間力アップの必要性」をテーマに、コープネット事業連合 太田さんに発表いただきました。太田さんは、1987年にさいまたコープ(現コープみらい)に入職され、スーパーマーケットでのレジ、お客様相談室などの現場経験を積みながら男女共同参画推進担当に従事。その後、2002年に人事教育部教育担当に携わり、結婚、出産、育児休職など女性ならではのワークライフバランスの変化を体現されてきました。2004年からはコープネット事業連合に出向され、人材開発部教育研修課長として、コープネットグループに所属する1都7県の職員に対する教育に携わっていらっしゃいます。その中から、今回は2007年度から延べ41回開催されている管理職教育としての「モチベーションリーダーシップ研修2日間コース」を中心にお話しいただきました。研修導入の背景には、異なる文化で育ってきた職員が同じ研修を受けることで、統一した理念、ビジョンを体感し、日常では関わりの少ない他の生協の職員同士で語り合う場を設けることで組織力を強めたいという思いがございました。出身生協の違いだけではなく、性別、雇用形態、年齢、価値観などが異なる人々、その違いを理解し、認め、寄り添い、支援することを体現できるセミナーを通じて、多くの変化が見られているとのこと。9年間継続してきたことで約800名の管理職の方が受講され、セミナーで身に着けた様々な気づきは共通言語、共通認識となって現れてきているそうです。研修後のアンケートでは、「人によって心のエンジンは違う。互いに尊重しあうことが大切だと思った。」、「部下を理解しようとしなかったのは自分自身だった。」など、自分と相手は違うということを認めるあうことで、お互いを尊重することができ、相手の話を心で聴くことで、信頼関係が構築できることを感じていただけたそうです。

また、宅配事業部門で行われた「女性活躍タスク」の取り組みについても発表いただきました。6回の会議の中で、「生協らしさって何だろう?」、「10年後もイキイキ働き続けるために、こんな職場にしたい」などをテーマに答申策定を行ったそうです。この会議には、若手女性職員9名に加え宅配事業の執行役員、部長、地区長、人事教育執行役員、部長、事務局が参加することにより、自分たちの成長を真剣に考えてもらえていることが感じられ、回の終わりには、「事業所長になり、活躍したいという気持ちが湧いてきた」という思いが伝えられたそうです。太田さんの発表からは、人材教育に対する熱い思いが感じられ、この熱い思いがあるからこそ、研修が継続され、組織風土の変化へと繫がっているのだと感じました。

  *グループディスカッション*                   

 主宰者の植田と発表者の太田さんを囲む2つのグループで、グループディスカッションを行いました。その一部をご紹介します。

 前半は、昭和に染まったバブル世代の意識をどう変えたらよいか、どの層に施策を打つのが効果的かといったテーマで意見交換がなされました。また、経営陣の理解を得る秘策について、太田さんがどのように進めているかをお話しいただきました。「信念」を持ち、上に突き返されてもあきらめず、この人を攻略するにはどうしたら良いかを考え行動する、というお話が印象に残りました。そのほか、女性活躍タスクに関する質問も多く出ていました。

 後半は、男性管理職の意識がなかなか変わらない(変われない)背景や要因について、植田の話を中心に展開しました。男性は「過去と今」を見ており、女性は「今と未来」を見ている。男性の多くが過去の栄光を引きずり、なかなか変われないのも頷けます。植田の講演聴講者の中には「今までの俺のやり方で何が悪い」「もう一度昭和の栄華の時代が来ないかな」という男性管理職がいたこともあるそうです。これも過去を見ている男性の象徴的なエピソードだと思います。研修・講演を積極的に受講する人は、もともと人間力のある人。必要ないという人ほど本当は受けなければならないので、企業としては悩ましいことと思いました。

 次回の研究会は、2016年1月12日(火)「女性活躍推進、ダイバーシティ推進の現状と今後」と題して行う総会です。2015年の活動を振り返るとともに、今後の課題・目標などを参加者全員で共有します。たくさんの皆さまのお越しをお待ちしております。

文責:株式会社日経BPマーケティング 神田絵梨 キャリアコンサルタント 山岡正子