2016422日(金)開催

97回「ダイバーシティ推進、成功企業に学ぶ 〜5年の歩みと結果そして展望〜」

事例発表:カルビー株式会社

 

*事例発表*

初代ダイバーシティ委員長で現執行役員の後藤綾子さんからは、これまでのダイバーシティの取り組みについてお話しいただきました。カルビー様は創業一族が経営するオーナー企業だったそうですが、2009年、元ジョンソン&ジョンソンの松本晃氏が会長兼CEOに就任されたことを機にダイバーシティの取り組みをスタートされたそうです。当時、オーナー家の秘書を務めていた後藤さんは、このころ松本会長に「カルビーの女性管理職比率は何%か?」と聞かれ、社内データを調べ報告したところ、「この会社は一世紀遅れてるね。」と言われたそうです。そこから、後藤さんは、ダイバーシティ委員会の初代委員長としてダイバーシティ推進活動に取り組まれました。当初は何もわからず、手探りで色んなことを模索し「とりあえずよさそうなことは何でもやってみる」という状況だったとのことです。それと同時に社内では仕事の仕方も大きく変わったようです。評価・報酬については「Pay for Performance」が基本的な考えで、人事評価はシンプルに数字で示す、「コミットメント&アカウンタビリティ(約束と結果責任)」も導入されたそうです。社員は結果を出さなければ、夜中まで残業しても評価されません。

後藤さんが委員長を務めた1,2年目は、社長直轄の活動で、会社の組織風土改革に取り組みましたが、2代目委員長から人事部門直轄になったことにより、制度面からもダイバーシティを進めていかれました。2014年には在宅勤務制度を導入し、2015年には育児休暇からの早期復帰支援等を目的とした、いくつかの両立支援制度も導入されたそうです。

従業員が個々のライフイベントに左右されることなく、安心して活躍できる職場づくりに取り組むと同時に、

女性管理職も徐々に増え、今は『アネゴネットワーク』というネットワークという新任女性管理職の悩みを相談できる場もでき、女性活躍推進はますます進んでいるそうです。中には「女性に下駄を履かせるのは逆差別では?」という声もあるようですが、そんな時後藤さんは「これまで無条件に下駄を履いていたのは男性。」と返すようです。参加された皆さんも深くうなずいていらっしゃいました。

ダイバーシティはコストではなく投資、一人ひとりの成長がカルビー様の成長へと成果に結びつていている実績に深く感銘致しました。

現ダイバーシティ委員長の新谷英子さんからは、2015年度まで所属していた地域事業本部での取り組みについてお話していただきました。本社の取り組みは進んできたものの、工場側での意識の浸透は進んでいないという状況だったようです。そこで地域事業本部長をトップにした地域の委員会を立ち上げ、各工場からダイバーシティ委員を選出し事業本部の委員と一緒に取り組みを進めているとのことで、その際に重要なことが2点あげられました。まず1点目は工場長を巻き込んで推進に協力していただくこと。2点目は「女性活躍」という表現ではなく社員みんなが「活き活き働き続けるための取り組み」としてダイバーシティ推進であるということを掲げることです。具体的な取り組みとしては、工場長による工場見学や、ラインに入りづらい時短社員によるてづくりチームの形成、また、常時PCでメールを見られる環境ではありませんので、メールで発行されたものは掲示板に掲示したり、ホワイトボードで自己紹介をし合うことで従業員同士の親交を深めるなどなど。ここでも、「とりあえずよさそうなことはやってみる」というカルビー様の前向きな姿勢が伺えました。

2年というダイバーシティ委員長の任期で何をやっていくのか、2年でどんな成果を出すことができるのか。その時々の委員長が中心となって様々な取り組みを行っていくことでさらに取り組みの多様化がすすんでいるということでした。同時に、本気でダイバーシティを考えるメンバーが社内に増えることはとても大切だと実感されているようです。

後藤綾子さん、新谷英子さんのお話しは、取り組み過程も含めとてもわかりやすくご説明いただけたので、参加された皆さまも熱心にメモを取られており、とても充実した勉強会となりました。

 

*質疑応答*

今回から、休憩中に参加者の皆さまに質問を書いていただき、多くの方が関心のある

テーマを植田がピックアップして、事例発表企業様に質問していく形式で進めることに

なりました。当日取り上げた主なテーマをご紹介します。

●時短社員の評価について

カルビー様の人事評価はシンプルに数字で示し、時間は関係ない。「コミットメント&アカウンタビリティ」。約束したことに対して結果責任を負う。結果に対する評価だけで、長時間労働をしても評価されない。

●ダイバーシティ委員会メンバーは、なぜモチベーションが高いのか?どんな思いで活動に取り組んでいるか?

 後藤さん:ダイバーシティ推進に取り組み始めた頃は、情報収集のためセミナーや研究会などに参加。女性と組織の活性化研究会もその一つ。異業種の集まりでパワーをもらった。新しく知ることは楽しい。トップの理解。

 新谷さん:娘が大きくなった時にダイバーシティが当たり前の世の中になっていてほしいと思う。やりがいのある仕事。

 宮島さん:メンバーがみんな楽しそうで、キラキラしていた。「みんなが主役を大切に」

      「一人ひとりの成長がカルビーの成長」という会社の戦略に共感。微力ながら自分が関わりたいと思った。

●ダイバーシティ委員(兼務)のときの会社の理解について

 中には理解を得にくい部門もある。上司の理解をどう得るかがカギ。そこは委員会で

支援している。イベントは2ヶ月に1回程度、ミーティング頻度もそう多くない。

 工場ではパソコンを見ているだけでさぼっているように見られるので、それ以外の時間

を効率良くしている。

●社内のネガティブ意見に対して

 ネガティブ意見はゼロにならない。めげずにやり続けるしかない。

 本部長までは松本会長の話が行き渡る。その下の工場長、部長の意識を変えるには、

 いかに本部長を味方にするか。本部長と一緒に部長を巻き込む。上から順に口説いていくことが重要。ネガティブな人はすぐには変わらないけれど、メンバーが活き活きしていれば「あ、ダイバーシティ推進いいかも」となる。

 

次回の研究会は、「時短女性管理職の誕生とイクメン当たり前の組織に学ぶ」と題して、722日(金)に開催します。たくさんの皆さまのお越しをお待ちしております。

 

文責:株式会社日経BPマーケティング 神田絵梨、ディ・マネジメント株式会社 田中慶子