2016年7月22日(金)開催

98「時短女性管理職の誕生とイクメン当たり前の組織に学ぶ」

事例発表:パナソニック エイジフリー株式会社
リテールサポート事業部ITソリューション部 システムサポート課 課長 小松多恵子氏
東部住環境ソリューション部 東部サポート課 西山嘉一氏

*事例発表*

最初に小松さんより会社全体での取り組みについてお話があり、その後、男性の育児休業を初めて取得された西山さん、時短管理職の小松さん自身のお話をそれぞれお聞きしました。

西山さんは3人目の出産を機に1か月の育休を取得されました。最初は自分の立場や元の職場に戻れるのかなど不安で切り出せなかったそうですが、会社が『くるみんマーク』取得のため、男性の育休を募集したことで切り出すことができたそうです。育休取得を申し出た時の周りの反応は様々で、「いいじゃないか」という意見だけでなく、「自分の仕事が増える」「育休理由に休めていいね」という批判的な意見もあったそうです。育休中、復帰後の不安はあったそうですが、人事のサポートや上司の「安心して休め」の一言で安心して育休を過ごせたそうです。育休中は主に上の娘2人の子育て。これまでは一緒に寝てくれなかった娘さんが一緒に寝てくれるようになるなど、親子の絆が深まったそうです。また、休業中に初めて自分のキャリアアップを考え、資格取得に取り組むなど、仕事に対する意欲が高まり、復帰後は上司からも働き方に対する姿勢が変わったとの評価が得られたそうです。社内ではまだ男性の育休は少なく取りづらいため、上司の取得や会社からの取得促進が必要だと感じるそうです。

小松さんは時短の管理職です。仕事と子育ての両立のポイントは、子どもの病気でいつ休むかわからないという前提で、自分がいなくても仕事が回る仕組みをつくることだそうです。まず自分の仕事を切り分け、お願するときは少しずつ他の人にお願すること。もう一つは情報公開することです。情報公開は仕事内容だけでなく、子どもの状況も公開することがポイントです。「今、保育園でインフルエンザが流行しているから、うちもかかったら3日連続で休まないといけない」など周りの方も状況がわかれば前もって依頼するなど準備ができるため、休んでも仕事が回っていくようになるそうです。今、小松さんは九州から北海道まで遠隔地の部下を含め21名のマネジメントをしています。メンバーとはランクアップノートや電話で進捗確認をしているそうです。特に意識しているのは業務の効率化です。1件当たり何分かかる?何日かかる?不明な時間は何をしてる?そんな質問を繰り返すことで、メンバーは自分の仕事を振り返り、考えるようになります。また、仕事に何を求めているのか?止めたい仕事は何?助け合うためにどうする?そんな質問を繰り返し、メンバーの思いを確認しながらマネジメントをしているそうです。すごいですね。

また、上司として時短部下が働きやすくするために、心がけていることが2つあるそうです。1つは時短者をフォローしてくれるメンバーへの感謝。二つ目は育休者への不満は必ず上司である自分に言うこと。他部署に依頼しにくいことも、「小松が言っている」と自分のせいにするように部下に言うそうです。そうすることで当事者同士の関係性が悪くならないようになるそうです。小松さんからはその他、パナソニックエイジフリーの育児・介護と仕事の両立支援の取り組みについて教えていただきました。介護準備のチェックシートの作成や育休者の様子を発信したりと様々な取り組みを教えていただきました。

小松さん、西山さん、本当にありがとうございました。とても参考になりました。

 

*グループディスカッション*

 後半は発表者の小松さんと西山さんを囲む2つのグループで、グループディスカッションを行いました。その一部をご紹介します。

 前半、西山さんを囲むグループでは、「男性の育児休暇はどれくらい休むのが適正と感じるか」との質問があがりました。西山さんは1ヶ月がちょうど良かったそうです。3ヶ月休むとなると、自分が戻る場所がなくなっているのではないかと不安になるとのことでした。他の企業での取得状況を聞いていると、業界や職種によっても男性が育児休暇を取得できる期間にばらつきがある印象を受けました。20〜30代の男性が育休取得を申し出ても、50代の管理職に「なぜおまえが休む必要がある」と言われてしまうことも、まだ現実にはあるようです。

日本の男性の育児休業取得率は2%程度。しかも多くは1週間程度しか休んでいません。西山さんのように1ヶ月間休み、しっかりと育児に関わることで家族との絆が深まったり、自身の人生を見直すきっかけにできたりする人が、少しずつでも増えていくといいなと感じました。

 後半、小松さんを囲むグループで印象に残ったのは、小松さんが「育児の経験が仕事への何よりのスキルアップ」とお話しされていたことです。出産から育児期は、子どもに手がかかりキャリアがストップしてしまう、ブランクができてしまうとネガティブに捉えられがちです。けれども、育児時短勤務をしたまま管理職に昇進し、しかも全国に散らばる多くの部下をきちんとマネジメントして成果をあげている小松さんが、子育ては仕事に活かせると話すことで、励まされたワーキングマザーは多いことと思います。これから子どもを産みたいと思っている女性にも勇気を与えてくれます。

今回の研究会を通じて、男性も女性も、仕事か家庭かどちらかを選ぶのではなく、相互が関係しあって相乗効果を生み出す素晴らしさがわかりました。これがこれからの理想的な生き方かなとあらためて感じました。

 

次回の研究会は、「『副業OK』ダイバーシティ推進の最先端をリードする企業の施策に学ぶ!」と題して、9月29日(木)に開催します。たくさんの皆さまのお越しをお待ちしております。

文責:株式会社日経BPマーケティング 神田絵梨、ディ・マネジメント株式会社 田中慶子